「いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか?」 とっておきの場所で心地いい時間を過ごしたり、お気に入りのアイテムで気分転換したり……気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」を伺います。
第3回は『きのこって なんだろう?』の作者、小林路子さん。
きのこ愛あふれる、3つの「ほっとするもの」を教えていただきました。
私は東京の大田区という所で生まれ育った、自称・シティガール。「野生きのこ」との接点は、母が秋に1~2度作る松茸御飯だけでした。庶民でも国産松茸が買えた大昔の話です。
それから〇十年──。仕事で野生きのこを描いたことがきっかけで、魅惑のきのこ(菌類)世界に一目惚れ! たちまち普通(?)の絵描きから “きのこ絵描き” に変身し、神出鬼没のきのこを探して野に山に。とても楽しく、時に苛酷なきのこ絵描きの日々が始まったのです。
写真は、イタリア製のきのこ採り専用ナイフ。見た目はよく切れそうですが、刃はついておらず、デザートナイフと同じです。採ったきのこのアシを切り、柄の先のハケでゴミを払う便利な道具。
人は何かを好きになると、なぜかグッズも集めたくなるようです。猫グッズや鉄道グッズ、妖怪グッズまで。では、きのこグッズはというと、以前は本当に少なかった。
まれに出会う “きのこ形製品” は、ほとんど欧米の品。イギリスは野生きのこを愛好しないのに素敵なグッズが多い国、イタリアはきのこ料理もグッズも大好き、とお国柄もさまざま。世界のきのこグッズ集めも楽しいものです。
写真は左から、きのことハリネズミ(イギリス)、ハラタケとニンニクの付いた飾り皿(イタリア)、リモージュ製のヤマドリタケ型ピルケース(フランス)、きのこの靴下かがり(ロシア/*1)。靴下かがりは、カサをはずすと、アシの中に糸と針が入っています。
*1 靴下の穴を糸でかがって補修するときに使う道具。ダーニングマッシュルーム。
日本人は昔からきのこ好きで、地方には豊かなきのこ文化があるのに、素敵なきのこグッズが少ないのは残念でした。そこで「ないなら作ろう」と、グッズ作りに熱中し、相当ムダ(?)な時間を使いました。その時間、絵に専念していれば!
でも、グッズもまた、きのこの楽しみのひとつ。なぜならきのこはどれも繊細で、採るとすぐに傷んでしまいます。そんなきのこをいつも身近で愛でられるのが、きのこグッズなのですから。
写真は左から、ベニテングタケの針山(木彫に彩色)、ベニテングタケのアップリケのミニポーチ、ササクレヒトヨタケのレプリカ(木彫に彩色)
文・絵 小林路子
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