 
                連載「絵本の選びかた」では、絵本選びに迷う方に向けて、絵本の楽しみ方や選び方のヒントをお届けしていきます。今回は、「乗りもの」が登場するおすすめの絵本リストをご紹介。
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消防車やパトカー、電車、新幹線など……ピカピカの車体がダイナミックに動く様子には、子どもも大人もつい惹きつけられてしまいますよね。絵本の世界でもそれは同じで、乗りもの絵本は、いつの時代も大人気!
こちらの記事では、乗りものを主人公にした物語絵本から、小さな乗りもの博士たちも喜ぶ図鑑的な絵本まで、9冊の作品を読者の感想とともにご紹介します。
まずご紹介するのは、小さい赤ちゃんでも楽しめる乗りもの絵本。
お出かけの時に出会う「くるま」や「でんしゃ」が登場する乗りもの絵本は、赤ちゃんが興味をしめしやすいジャンルです。現実の乗りものと、絵本の乗りものを行き来しながら楽しむことで、赤ちゃんの世界が広がっていきますよ。
シンプルな形とはっきりした色彩の自動車がたくさん登場する絵本『ぶーぶーぶー』。赤、青、黄、緑……鮮やかな色の車が「ぶーぶーぶー」「ぷっぷっぷっ」と、いろいろな音をさせながら走っていきます。

読み終わった後も手を伸ばしてもっと読んでほしそうにします。「ぷっぷっぷっ」「ぽっぽっぽっ」の音が好きなようで、とても楽しそうにします。何度も何度も読んでいたら、口を動かしてまねするようになりました。(お子さん:0才)
道行く車をキラキラした目で見つめる息子にプレゼントしました。実際に目にする車と、絵として見る車が結びつくか不安でしたが、バッチリわかっているようで、リビングで静かにしているときは、だいたいこの本を黙々とめくっています。カラフルな色と音の感じが大好きなようです。(お子さん:1才)
こかぜさちさんによる響きのよい言葉が、赤ちゃんの心をとらえる1冊。カラフルで楽しい絵を手掛けた わきさかかつじさんは、京都発のテキスタイルブランド「SOU・SOU」のデザイナーとしても知られています。初めての乗りもの絵本にぴったりです。
 
路線バスに郵便車、ごみ収集車、宅配車など……赤ちゃんのうちから目にすることの多い「はたらく車」の絵本『のりたいな』。それぞれの車の特徴をしっかりとらえながら、やわらかな雰囲気も感じられるのは、貼り絵の技法で描かれているから!
車の絵が細部まで忠実に描かれているのにかわいくて、色も鮮やかで、子どもに寄りそってくれている絵本です。息子も私(母)も大好きです。読んでも聞いても心地よいリズムです。(お子さん:0才)
息子がバスにハマりだしたので、乗りものの絵本を買いに本屋へ行って出会った1冊です。子どもの「のりたいな」という気持ちが膨らむ美しい絵です。(お子さん:1才)

作者のみやまつともみさんは、取材をもとに車の下絵を描き、その車が一番よく見える向きや角度にもこだわったのだそう。温かいタッチでありながら迫力を感じられるのは、そんなこだわりがあってこそなのかもしれませんね。
 
赤ちゃんが喜ぶ「乗りもの」と「食べもの」が両方登場する『がたん ごとん がたん ごとん』は、40年近く愛されているロングセラー絵本。はっきりした形と色、「がたんごとん」と繰り返すリズミカルな言葉が、赤ちゃんを惹きつける1冊です。
繰り返される「がたんごとん」のリズムが心地よく、子どももじーっと見つめていました。これから離乳食を始めるので、コップやスプーン、リンゴやバナナへ親しみをもってほしいなと思いながら読んでいます。(お子さん:0才)
1歳の息子が電車好きで、繰り返し「読んで」とせがみます。息子が好きなものが次々と登場するからでしょうか。シンプルな絵で記憶に残りやすく、黒の電車が走る緑色のラインがとても美しいです。(お子さん:1才)

たくさんの赤ちゃんに読み継がれてきたこの作品は、ボードブックにもなっています。持ち運びしやすいので、お出かけの際に便利です。
駅のホームで、夢中になって電車や新幹線を見ている子どもたち。さまざまな姿の大きな車両がスピードを出して行きかう様子に目を輝かせ、たくさんの電車の名前を覚えては、大人たちを驚かせる、小さな電車博士たちもいるのではないでしょうか。
そんな電車好きの子どもたちが喜ぶ絵本を、厳選して3冊ご紹介します。
 
全国を走るたくさんの電車が図鑑的に描かれ、刊行直後から大人気の乗りもの絵本『でんしゃ すきなのどーれ』。真正面から見て電車の「顔」を楽しんだり、真横から見て色や柄を味わったり、斜めから見てスピードと迫力を感じたり……子どもも大人も思わず夢中になってしまう作品です。
書店で息子が気に入ったようだったので購入しました。鉄オタの私から見てもとてもキレイな絵、親しみやすい絵で、息子と一緒に楽しみました。鉄道会社名や形式も書かれているので、大きくなってからでも楽しめると思います。(お子さん:1才)
ページをめくるたび「これは?」と聞いてきて、知っている電車があると「あずさ!」「はやぶさ!」と嬉しそうに叫んでいます。本棚から自分で出しては眺めているので、お気に入りの1冊になったようです。色とりどりの電車がたくさん載っていて、大人が見てもわくわくします。(お子さん:2才)

作者の岡本雄司さんは、お子さんと一緒に電車の図鑑を見るときに、それぞれの好きな電車を指さしながら楽しまれたそう。そんな経験をもとに作られた作品なので、親子でのコミュニケーションのきっかけにもなりそうですね。
 
『でんしゃでおでかけ』は、都営地下鉄大江戸線、JR中央線、東海道新幹線の3つを乗り継いで、東京から名古屋へ向かう道中を描いた物語絵本。迫力ある描写に、電車好きの子どもたちも大喜び!
電車、新幹線が大好きな息子が楽しんでいます。実際に旅しているように、情景もじっくりと見ています。特に駅の中がどうなっているかがわかり、とても興奮していました。(お子さん:3才)
息子が卒園した幼稚園へのプレゼントに購入しました。この絵本は、実際の車両や駅をディテールにこだわって描いているので、電車が大好きな子どもたちに喜ばれると思います。 図鑑ばかり読んでいる息子でしたが、そんな子のお気に入りになる絵本だと思います。(お子さん:小学中学年)

お父さんが電車の運転士だったという作者のケッソクヒデキさんと、電車好きの担当編集者が、駅構内や沿線を丹念に取材してできた1冊です。
 
絵本『ふみきりくん』の主人公は、働き者の「ふみきり」! 「かんかんかん」という大きな音を鳴らして、遮断機を上げたり下げたりするふみきりは、電車好きの子どもたちにとっても、なじみ深い存在です。
乗りものが好きな息子のために図書館で借りてみたところ、大喜び!! すっかりふみきりが気に入り、絵本を購入。「カンカン ガタゴト」など、ところどころマネをして楽しく読んでいます。(お子さん:2才)
ふみきりが好きなわが子。書店でこちらの本を目にすると、目を輝かせ「ほしい!」との事で購入しました。ふみきりの単体の絵本は珍しいのでよかったです。(お子さん:2才)

『ふみきりくん』は、作者のえのもとえつこさんの「子どもたちが自然と気持ちを投影できる乗りもの絵本を作りたい」という思いから生まれました。絵を担当した鎌田歩さんは、目の表情や画面構成の工夫で、ふみきりくんの心の動きをいきいきと描き出しています。
パトカーや消防車、クレーン車やダンプカーなどの「はたらく車」は、特別な形や機能を持っているものが多く、子どもたちの好奇心を刺激する存在です。実際に乗る機会がなかなかないからこそ、絵本でじっくり観察するのはいかがでしょうか? 
はたらく車がテーマの絵本・図鑑を3点、ご紹介します。
『くるまの なかには?』は、郵便車やトラック、宅配車など、街でよく見かけるはたらく車が登場する絵本です。この作品のおもしろいところは、車の中に載せているものを全部見せてくれるところ!
2歳になる息子がはたらく車が大好きです。店頭でこの本を見つけ購入しました。毎日夢中で読んでいます。イラストもかわいくてお気に入りの1冊です。(お子さん:2才)
郵便車やヤマト運輸のトラック、引越トラックなどが大好きな息子。この絵本を本屋さんで見つけて息子に教えると、すぐにくぎづけになりました。はたらく車ももちろんのこと、積まれている荷物にも興味津々。引越トラックの荷物のページを開いて、「これなあに?」「とけい?」「テレビ?」と引き込まれています。(お子さん:3才)

車、荷物、はたらく人……細部までリアルな描写は、作者の石橋真樹子さんが綿密な取材を重ねたからこそ。子どもたちの知りたい心が満足する1冊です。
 
小さな消防自動車の「じぷた」が主人公のロングセラー絵本『しょうぼうじどうしゃ じぷた』。大きくて立派な仲間たちにちびっこ扱いされていた「じぷた」が、その小ささを活かして活躍する場面は、長年にわたってたくさんの子どもたちを魅了してきました。
息子もわたしも山本忠敬さんの絵が大好きです。乗りものには表情がないはずなのに、山本さんの描く乗りものたちには、ちゃんと表情があるんですよね。吸い込まれるような真剣な目で、必死に絵をみる息子がかわいかったです。(お子さん:3才)
2歳の息子が、じぷたが大好きです。街でジープに似た車を見ると、必ずにこにこして「じぷた!」と言います。わたしが子どもの頃読んでいたので、図書館で借りて読み聞かせしたところ、子どもが好きになりすぎて、本屋さんで購入しました。毎日、夜寝る前に読んでいます。(お子さん:2才)

いろいろな種類の消防車や救急車が登場するので、乗りもの好きは眺めているだけでも楽しい1冊。乗りもの図鑑好きのお子さんと一緒に物語絵本も楽しみたい、という方にもぴったりです。
▼『しょうぼうじどうしゃ じぷた』誕生秘話

『しょうぼうじどうしゃ じぷた』をはじめ、たくさんの乗りもの絵本を手掛けてきた山本忠敬さんによる、ソフトカバーの図鑑4冊セット「はたらくじどうしゃ」。工事現場で働く車や、物を運ぶ車、消防自動車など、さまざまなはたらく車が勢ぞろいです。
2才くらいからはたらく車が大好きで、チラシで表紙を見て「これがいい!!」と選びました。4冊セットで読みごたえもあり、車種など細かく説明が書いてあるので、これからもっと大きくなって詳しく知りたがってからも、読み続けていきたいと思います。(お子さん:4才)
山本忠敬さんの車の絵は非常にリアルですが温かみもあり、子どもの心に刺さるのだと思います。車体の機構や実際に動く時の様子も細かく描写されていて、大人が読んでも面白いです。(お子さん:2才)

細かいところまで描きこまれた車の姿は、迫力満点! どんな場所で、どんなはたらき方をしているのか……現場の様子もしっかり描かれているので、大人も思わず見入ってしまいそうです。1冊1冊が薄くて軽いので、お出かけ先に持っていくのもよいですね。
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