ようやく秋らしい風を感じるようになってきましたね。
今月も、Webマガジン「とものま」をご覧いただき、ありがとうございます。
秋の情景というと夕暮れの空が浮かぶのは、童謡の「赤とんぼ」の印象が強いからでしょうか? 思い返すと子どものころは、秋をうらめしく思ったものでした。太陽の沈む時間が早くなっていくことと、外で遊べる時間が短くなっていくことは、イコールだったからです。秋には秋の魅力がある、そう感じられるようになったのは、いつからだったでしょう。
以前、コンテナを運ぶトラックの絵本の取材のため、埠頭に通ったことがあります。埠頭には、巨大なコンテナ船から貨物を積み降ろすための、巨大なクレーンが並んでいます。ガントリークレーンと呼ばれるこのクレーン、何かに似ていると思いませんか?
──そう、キリン。
数年後にアフリカを訪れ、夕暮れの空を背景にサバンナを歩くキリンを目にしたとき、この景色は見たことがある、と感じたのですが、アフリカは初めてだったので、そんなはずはありません。帰国してしばらく経ち、たまたま訪れた埠頭近くでガントリークレーンを久しぶりに目にしたとき、「あ、この景色…」と気づきました。オレンジの空に浮かぶ、長い首と長い脚。夕暮れはシルエットを際立たせるのですね。遠く離れた2つの景色が重なった瞬間です。
さて、10月も「とものま」は精力的に連載を更新していきます。先月スタートした連載「来月は これ読もう!」は、ご覧いただいたでしょうか。東京子ども図書館の皆さんが、季節の本を毎月紹介してくれる連載です。来月11月のおすすめの本は、10月2日に公開します。落ち葉、どんぐり、きのこ、渡り鳥、秋にぴったりの本が並びます。「10月の本の準備がまだ…」という方は、ぜひ「10月のおすすめ」とあわせてご覧ください。
新連載もまたひとつスタートします。連載タイトルは「親子でたのしい! えほんやさんぽ」(「えほんやさん」と「さんぽ」をかけています)。全国各地にある子どもの本の専門店を、その地域の “親子で楽しめるスポット” とともにイラストルポでご紹介していきます。
連載初回は、山梨県甲府市の「絵本専門店ゆめや」さん。同店の特徴は、配本サービスの「ブッククラブ」です。「他がやらないことをやっていく」という信念のもと、ひとりひとりの子どもに寄り添った選書を続けています。時間も手間もかかるので、なかなかできることではありませんが、だからこそ意味があります。10月後半の公開予定です。
今月もぜひ、「とものま」をお楽しみください。
とものま 編集部
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編集部・I
先日、徳島を訪れました。とんぼ返りだったのですが、帰り際に「阿波おどり空港」のお土産屋さんで嬉しいものを見つけました。阿波晩茶です。絵本作家の齋藤槙さんが「あの人の ほっとするとき ほっとするもの」で紹介してくださっていたので、「これかぁ!」と買い求めました。帰宅して飲んでみると、お茶の風味とともに、ほのかな酸味を感じます。ほっこり…。疲れが抜けていきました。
編集部・K
秋、といえば……栗に目がありません。栗羊羹、栗きんとん、渋皮煮、モンブラン、この時期のデパ地下は天国です。先日、取材で伺った長野で、「栗こもち」という和菓子をいただきました。栗あんの中につきたてのやわらかいお餅が入っていて、こんなにおいしいものがあったのか! と感動しました。山を越えた遠方のお店で買って来てくださったそうで、そのお気持ちも含めて一口一口噛みしめました。
編集部・T
最近気に入っている海外ミステリに、M・W・クレイヴンの「ワシントン・ポー」シリーズ(早川書房)があります。優秀だが後先考えず突っ走りがちな捜査官ポーと、コミュニケーションに難ありな天才分析官ティリーのバディもの。脇を固めるパワフルで優秀で人間くさい女性たち(警視に警部に病理学者に…)も最高なんですよね。新刊が出たばかりなので、秋の読書にシリーズ一気読みがおすすめです。
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