「えほんQ&A」は、読者のみなさまから寄せられた疑問や悩みにお答えする連載です。「子どもが同じ本ばかり読んでほしがる」「読み聞かせを最後まで聞いてくれない」など、気になるところはみんな同じ。絵本や読み聞かせを楽しむときの参考にどうぞ。
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子どもがいつも同じ本を読んでほしがります。親としては、いろいろな絵本を読んでほしいのですが……同じ本ばかり読んでいても大丈夫なんでしょうか?
大人の読み方と、子どもの読み方は、実は全く違います。子どもは読んでもらって「楽しい」と感じると、その「楽しい」をもう一度味わいたいと思います。だから好きな絵本は何度でも体験したいのです。子どもが同じ本を持ってくるときは、くり返し味わいたい「特別な一冊」に出会ったのだと受け止めて、できるだけ読んであげてください。大人も、好きな音楽は何回でも聴きたくなりますよね。それと同じです。
お気に入りの絵本を読んでもらうと、いつでも大好きな世界に入りこむことができる──その幸福感と安心感を想像してみてください。くり返し楽しみたい絵本に出会えたということは、その子にとって幸せでいられる場所、安心できる場所がひとつ増えたということでもあるのです。
子どもは、絵本に登場するものに気持ちを重ね、ひとつの物語を何度も楽しみながら、まるで自分自身が体験しているかのように、物語の世界に深く入り込んでいきます。物語の体験が子どもたち自身の体験になり、絵本の言葉が子どもたち自身の言葉になっていきます。
「1冊の絵本を何度もくり返し読むのと、いろんな絵本を読むのと、どちらがいいの?」という質問もよく寄せられますが、好きなものを何度も味わいたい子もいれば、新しい扉をどんどん開けていく子もいます。ひとつの世界を深く味わうことにも、さまざまな世界に出会うことにも、大きな意味があるので、どちらが正解というわけではありません。子どもがその時間を楽しめているなら、どちらも素敵なことなのです。新しい絵本を次々に読んでほしがる場合は、その時々の興味や関心に寄り添うものを読んでいくことで、その子の世界が広がります。
絵本の楽しみ方は、成長とともに移り変わっていくので、子どもの様子を見守りながら、読み聞かせの時間を楽しんでください。
(とものま編集部)
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