「えほんQ&A」は、読者のみなさまから寄せられた疑問や悩みにお答えする連載です。「子どもが同じ本ばかり読んでほしがる」「読み聞かせを最後まで聞いてくれない」など、悩みはつきないもの。絵本や読み聞かせを楽しむときの参考に、どうぞご覧ください。
文字をだいぶ読めるようになったのに、なかなか自分で本を読もうとしません。ひとりで本を読むように促した方がいいのでしょうか?
子どもがその気になっていないのに、ひとりで読むように促しても、読むようにはなりません。
まず子どもが「ひとり読んでみよう」と思うきっかけを知る必要がありますが、子どもが本をひとりで読むようになるきっかけは、さまざまです。例えば、文字をある程度読めるようになっていると、こんなことがきっかけになります。
──大好きな絵本を読んでほしいけれど、今は読んでくれる人が見当たりません。仕方がないので、ひとりで絵本を開き、慣れない文字を追います。お気に入りの絵本ですから、お話はよくわかっています。絵本の絵もいつも見ていますから、文字を追うことに気をとられても、イメージを頭に浮かべることができます。そうして気がつけば最後のページ。ひとりで1冊の本を読み通した事実は、大きな自信につながります。読んでくれる人が見つからないとき、この子はまたきっと、ひとりで絵本を開くでしょう。
このように、お気に入りの本をもっている子や、「本は楽しいもの」と知っている子は、本に対する愛着をきっかけに、ひとりで読みはじめることがあります。
こんな例もあります。
──夜寝る前に、お母さんが初めての本を読んでくれることに。でも、疲れているお母さんは本を読みながら、ついうとうと。「おかあさん、おきて!」「……ごめんね、眠っちゃってたみたい」。そんなやりとりを何度か繰り返し、今日は読んでもらうのは無理かもしれないと気づいたその子は、お母さんの手から本をそっと抜き取り、続きを読みはじめます。
実際に、そのようにして100ページを超える童話『エルマーのぼうけん』を読み切ってしまった子がいます。心を揺さぶる本との出会いが、ひとり読みに誘うこともあるのです。
それでは、読み聞かせの経験が少ない子は、読書をするようにならないかというと、実はそうとも限りません。
小学校に入学して文字を覚えると、国語の教科書に掲載されている物語なら自分で読めるようになります。絵本体験をあまりしてこなかった子の中には、教科書で初めて心を震わせる物語に出会い、それまで体験してこなかった分、より強く物語を希求し、猛烈に読みはじめることがあります。
ここまでに挙げた3つのケースに共通しているのは、子どもの中に「読みたい」という気持ちが存在していることです。幼少期からの読み聞かせは「読みたい」気持ちの土台をつくります。そして、文字を覚えはじめた時期に魅力的な物語に出会うと、それがきっかけになる可能性もあります。
ただ、子どもがいつ「ひとりで読んでみよう」という気持ちになるかは、わかりません。いつその時が訪れてもよいように、目にふれやすいところや、手にとりやすいところに、お気に入りの本や興味をもちそうな本を置いておくのはいかがでしょうか。暮らしの中に本があると、おのずと本にふれる機会が増えますから、「読んでみよう」という気持ちも生まれやすくなります。また大人が楽しそうに、あるいは真剣に本を読む姿を日常的に目にすることによっても、本に対する興味や関心は高くなります。
最後にもうひとつ。文字を読めるようになっても、子どもが「よんで!」と本を持ってくる間は、ぜひ読み聞かせを続けてください。「よんで!」と本を持ってくるのは、それがまだ必要ということです。ひとりで読むことに慣れていくと、「よんで!」と本を持ってくることはおのずと減っていきます。
子どもが「よんで!」と持ってくる間は読み聞かせを続けながら、身近に本がある暮らしを意識しながら、子どもの中に「ひとりで読んでみよう」という気持ちが芽生えるタイミングを待ってみるのはいかがでしょうか?
(とものま編集部)
絵本から読み物への橋渡しについては、秋田喜代美先生の興味深い調査のお話もあります。連載「絵本がいいって ほんと?」を、あわせてご参照ください。
*
▼こんなお悩みも……▼
▼こちらもおすすめ▼
絵本がいいってほんと?
絵本がいいってほんと?
絵本がいいってほんと?
えほんとわたし
えほんとわたし
えほんとわたし