2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に、「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を、一挙にまとめて掲載するものです。
その「一日一話」を「とものま」で再開します。季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けします。
くどうれいん 文
ながしまひろみ 作
ようちゃんは、きめました。
「わたし、きょうからつぼみになる!」
ようちゃんはリビングのまんなかで、でーん、とあぐらをかきました。
それから、おふろばからもってきたきみどりのバスタオルを
からだのまわりにぐるぐるとまきつけました。
でも、それだけじゃ、たりない
ようちゃんは、がようしにみどりのくれよんで《つぼみです》とおおきくかいて
それをすぐそばにおきました。
ようちゃんは、いまからつぼみです。

「あら、ようちゃん、おへやがさむいの?」
とおりかかったおばあちゃんはしんぱいして、ストーブのひをつよくしようとしました。
(ちがうってば、つぼみ!)
と、ようちゃんはいいたくなりましたが、つぼみはおしゃべりをしないんだった! とおもって、あわててめもくちもぴたっととじました。
「おや、すわったまんまなんてめずらしいおひるねだこと」
(だーかーら、つぼみったらつぼみなの)
ようちゃんはバスタオルからあしをだして《つぼみです》のがようしをつつきましたが、おばあちゃんはきがつきません。
「あったかくするんだよ」
おばあちゃんはストーブをようちゃんのほうにむけて、じぶんのへやへいってしまいました。ようちゃんは、おばあちゃんをおいかけたかったけれど、がまん。ようちゃんはいま、つぼみです。つぼみには、あったかいのがだいじ。
「ようちゃん、なんのあそび? ええっ、つぼみ!」
おかあさんのこえです。おかあさんはつんつんとつぼみのようちゃんをつつきましたが、ようちゃんはつぼみなので、だんまり。
「おおきくてかわいいつぼみ。えいようをあげなくちゃね」
おかあさんがとおくへいってからこっそりめをあけると、チョコレートがふたつおかれていました。つぼみには、えいようも、だいじ。ようちゃんはぱくぱくとチョコレートをたべて、まためをとじました。
「どれどれ、ようちゃんがつぼみになったんだって?」
こんどはおとうさんのこえがしました。ようちゃんはめをとじながら(えっへん、つぼみだよ)とおもいました。
「つぼみなら、りっぱなはながさくように、たっぷりおみずをあげないと。よっこら、せ!」
ぐわん! とおしりがかるくなって、ようちゃんはびっくり。おとうさんはつぼみのようちゃんをだっこしました。ゆーらゆら、とはこばれて、あわててめをあけると、おふろばにむかっているみたい。おみずをかけられたら、つめたくって、たいへん!
「だめだめ、つぼみはおしまい!」

おとうさんがだっこをやめると、ようちゃんはぎゅっとしゃがみました。
「そろそろ、さくよー!」
ようちゃんがおおきなこえでいうと、おばあちゃんとおかあさんがきました。
ぐん! とうでをのばし。ぐんぐん! と、あしをのばし。ようちゃんは、ついにさきました。さいたさいた、とみんなおおよろこび。どうだ、とようちゃんはおもいました。
つぼみだったようちゃんは、おはなになりました。
おはなのようちゃんは、ぽかぽかのはるのおふろにはいりました。
(おしまい)
◆子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。

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