絵本屋さんのある街を、親子で旅してみませんか? 全国各地のステキな絵本屋さんと、親子いっしょに楽しめる近隣のおすすめスポットの魅力を、イラストレーター・Tamyさんのイラストルポで紹介していきます。旅先で出会った1冊は、きっと想い出の1冊に。

有楽町駅 東京駅からJR山手線外回りで2分
八丁堀駅 銀座駅から地下鉄日比谷線で6分

銀座通りにある教文館は、130年以上続く老舗の書店です。メソジスト教会の宣教師たちが、出版活動を行うための組織を作ったのが教文館の始まり。今の銀座の地にお店を出したのは1891年。太平洋戦争での被災を免れた数少ない建物のひとつで、銀座の中では和光、ライオン(ビアホール)と並ぶ、歴史のある建物です。
その9階にある「子どもの本のみせ ナルニア国」は、1998年にオープン。
子どもの本の売り場を作ることは、先々代の中村義治社長にとって長年の夢だったといいます。店名は、C・S・ルイスのファンタジー作品「ナルニア国物語」からとられました。
お店の入り口には、「ナルニア国憲章」が掲げられています。「ナルニア国は だれもが楽しみ くつろげる空間です」から始まる5つの理念は、お店で働くスタッフの方々の大切な支柱になっているそうです。
店内には、15,000点を超える子どもの本が並んでいます。そのうち、約8割をロングセラーの作品が占めているのが、ナルニア国の大きな特徴です。
オープン前に遡りますが、中村社長が東京子ども図書館を見学し、「こういう方向性の書店にしたい」と強く願ったことも、ロングセラーを中心に本を揃える大きな理由になったそうです。そのような背景から、東京子ども図書館が刊行する『私たちの選んだ子どもの本』で紹介されている本も、選書の大切な軸になったといいます。
ロングセラーが中心ですが、店内には新刊コーナーもあって、過去1年間に刊行された子ども向けの本が並んでいます。新刊コーナーの本は随時、棚に残すかどうかという検討にさらされています。1年が経過すると、棚に残っているものの中から、さらに「これは残していこう」という本だけが選ばれ、ロングセラーの棚に移されます。
「“よい” という判断は人それぞれですよね。それでも、ナルニアとしてよいと思うものを届けたいという思いがあります。私たちが何をよしとしているかは、私たちが語らなくても、店内に並んでいる本やイベントで紹介する作品が語ってくれます」と話すのは、店長の川辺陽子さん。
川辺さんによると、ナルニア国のもうひとつの特徴は「ホールを持っていること」。店内奥に位置するホールでは、絵本の原画展などが開催されています。また、本棚を移動(!)して生まれるスペースを利用して、トークイベントも行われます。著者の方々を招いてのトークイベントは、作品づくりの裏側を知ることができるだけでなく、お客さまとのつながりも深まる機会なのだとか。アナログで集うことの大切さを、スタッフの皆さんは感じているそうです。
あらためて店内の本棚に目を向けると、スタッフの皆さんの手書きのポップがたくさんあって、本の紹介がとても丁寧に添えられています。
「本を読むこと=勉強や知識のため……と、まじめに考える方が多いなと感じています。漫画やゲームに比べて、本は高尚で賢くなるからお薦めしたいのではなくて、ただ楽しいから読んでほしい。そういう本に出会える本屋は、ワンダーランドなんですってお伝えしたい。まだまだできていないことも多いんですけれどね」と川辺さん。
そんな川辺さんが、最近とても嬉しかったことがあったそうです。
「先日、小学2年生のお子さんがお母さんといっしょに来店しました。最近人気の絵本を探されていたのですが、ナルニア国にはその絵本を置いていなかったんです。でも、その親子はすぐには帰らず、そのまま店内を見て回っていました。やがて、その子が1冊の絵本を気に入って、買って帰ることになったのですが、その絵本が、安野光雅さんの『はじめてであう すうがくの絵本』だったんです。この店だからこそ生まれた出会いだなって」
銀座の中心にありながら、ビルの9階という立地のため、店内はとても静かで、絵本や読み物をゆっくりと選ぶことができる場所。流行に合わせていないけれど、ここに来ればいつでも『ぐりとぐら』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』に会える。ナルニア国は、大切に残していきたい1冊と、お客さまをつなぐお店でした。
はじめての絵本10冊セット
ナルニア国の選書による赤ちゃん絵本のセット。以前、赤ちゃん絵本のフェアを行うため、ナルニア国でよく売れているものを調べたところ、上位は『きんぎょが にげた』(福音館書店)や『しろくまちゃんの ほっとけーき』(こぐま社)をはじめ、ロングセラーの絵本ばかり。いかにもナルニア国らしいラインナップだったため、セットにしてお届けしようということになったそうです。贈り物にいかがですか。
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/ehon10set
■店舗情報
教文館 こどもの本のみせ ナルニア国
東京都中央区銀座4-5-1
※地下鉄・銀座駅から徒歩1分/JR有楽町駅から徒歩6分
【web】https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/
【Instagram】https://www.instagram.com/kyobunkwan_narnia/
【X】https://x.com/narniastuff

2022年、八丁堀にオープンした「本の森ちゅうおう」は、中央区立京橋図書館と郷土資料館に加え、多目的ホールやカフェも併設された複合施設です。森をコンセプトにデザインされた建物は、正面から見上げると、ブロックが積み重なったような外観で、緑豊かなテラス、大きなガラスの窓が印象的。6階建ての建物は、1階に郷土資料館、多目的ホール、カフェ、2~5階までが京橋図書館、6階は屋上庭園になっています。
建物のデザインには、自然界に見られる「ボロノイ図」(トンボの翅やキリンの模様などに見られるもの)が取り入れられ、床や天井に配された照明のラインは、まるで葉脈のよう。どの階にいても、大きなガラス窓から緑と光を感じることができます。各階にはソファーや学習室、ラウンジ、テラスなどが設けられ、思い思いの過ごし方ができる空間になっています。
京橋図書館の利用者は1日あたり2,000人を超え、移転前の約3倍になっているそうです。郷土資料の充実も同館の特徴で、地域資料室では「区立でここまでの規模はめずらしい」という資料を閲覧することができます。たくさんの人が訪れる銀座に近い立地と、心地よい空間、地域資料室の利用も相まって、区外の方も多く来館するそうです。
「こどもコーナー」は2階にあります。ベビーカー置き場や授乳室、“こどもといれ” など、親子にやさしい設備が整っています。子どもの目の高さに合わせた低い本棚に、本の表紙がたくさん目に入るように並べるなど、手に取りやすい工夫も。
また、靴を脱いで利用する「おはなしのへや」では、火曜日と土曜日に定期的におはなし会が開かれています。ほかにも、ワークショップやイベントが年間20回ほど開催されています。
それでも、「企画運営が大変だと感じたことはありません、子どもたちが喜ぶ姿を見るのが嬉しいんです」と業務責任者の本田さん。館長の五所さんも、「子どもたちにとって居心地のよい空間をつくりたいと思っています」と力強く話してくださいました。
これからますます、楽しい図書館になっていきますね!
■スポット情報
本の森ちゅうおう(中央区立京橋図書館)
東京都中央区新富1-13-14
※地下鉄・銀座駅から徒歩16分/日比谷線・JR京葉線の八丁堀駅から徒歩1分
【web】https://www.library.city.chuo.tokyo.jp/contents?3&pid=11

■スポット情報
数寄屋橋公園
東京都中央区銀座5-1 ※地下鉄・銀座駅から徒歩1分/JR有楽町駅から徒歩3分

■スポット情報
有楽町コリーヌ(東京交通会館)
東京都千代田区有楽町2-10-1
※地下鉄・銀座駅から徒歩3分/JR有楽町駅から徒歩1分
【web】https://www.kotsukaikan.co.jp/coline/
・絵と文 Tamy
来月は これ読もう!
絵本のとびらを開いたら
わたしの限界本棚
えほんQ&A
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