「いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか?」
とっておきの場所で心地いい時間を過ごしたり、お気に入りのアイテムで気分転換したり……気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」を伺います。
第7回は、写真絵本『ぽんちんぱん』や『じゃばじゃじゃーん』に続き、新刊『おっととっと』を刊行した柿木原政広さん。
絵本作家であり、アートディレクターである柿木原さんのほっとするときとは?

彫る、ということが好きです。
コロナの感染拡大の頃、ひとつのことに時間をかけられるようになり、前々から好きだった「彫る」という作業を、実際に表現に落とし込んでみようと思ったのが始まりです。
版画を彫ったり、立体物を彫ったり、仕事的なものもあれば、仕事とは全然関係ないものもあったり。
彫るという行為は、とても単純で、彫っているときは無になれる。でも、ちょっとずれると、たとえば彫っている文字が読めなくなったりする。
これは、大津絵の『鬼の念仏』を彫ったもので、線の引き方はアバウトでいいんだけれど、雑になると一気にだめになります。一見、雑に見えるかもしれないけれど、丁寧にやらなきゃいけないんです。
この「考えなくていい」と「考えないといけない」というのが、「彫る」には適度に両方あるのがいいのだと思います。
※大津絵:江戸時代に東海道の宿場町だった大津で、土産物として売られていたユーモラスな民俗絵画。風刺や教訓の意を持つ絵が多い。

もともと、高校から大学時代にかけて、テニスをやっていました。でも、仕事が忙しくなってしまって、長らくテニスからは遠ざかっていたんです。
ですが、これもまたコロナの時期のこと、事務所の庭で、大家さんがボレーボレーをしているのを見かけて。思わず話しかけたら、近所のテニスクラブを勧められたんです。それをきっかけに再開しました。
以来、できるだけ毎週プレーしています。疲れていれば疲れているほどテニスをします。体を動かしたほうが元気になるんです。熟睡もできるし。
テニスは、必ず勝ち負けといった結果が出るのもいいところ。デザインというのは結果がなかなかわからない。でも、テニスの場合はその時の精神状態が全部プレーに出るので、そのときの自分の状態がよくわかるんです。毎回、試合を顧みて、あのときの気のゆるみが今回の負けた原因か、などと反省するんですけど、それがいいんですよね。勝ち負けがあることでわかる「何か」があると感じています。
今の自分の、体と心の軸になっています。
※ボレーボレー:ボールを地面に落とさずに打ち合うこと。

犬を飼っています。ミニチュア・シュナウザーという犬種の男の子で、名前はダーくん。
(この写真は、旧知のデザイナーに、ダーくんそっくりに作ってもらった、フェルト人形です)
実は、我が子が生まれたころは、仕事に没頭している時期で、あんまり育児にかかわれませんでした。ふと気づくと、子どもたちも大分大きくなっていて……。
そんなときに、我が家にダーくんがやってきたんです。家族みんなで育てているので、その苦労も楽しさも、一緒に経験しています。
ダーくんは愛情をかければかけるほど、きちんと返してくれる。もちろん、思い通りにならないこともあります。でも、それも含めて面白いんですよね。
家族全員の癒しで、家族をつなげる存在です。
……ここに挙げた3つとも、コロナ以降のことですが、考えてみると、時間の使い方や、自分の軸足のようなものが、それまでと変わったのかもしれません。
写真 柿木原政広
まとめ 編集部


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