来月は これ読もう!

3月は これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする3月の絵本&読み物10選≫

絵本 |
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季節の本を楽しみたい! そう思っていても、あわただしく過ごしていると、あっという間に、もう次の季節……。それなら少し余裕をもって、準備を始めてみませんか?

この連載では、子どもたちに本を手渡しつづけている東京子ども図書館の皆さんに、「来月のおすすめの本」をご紹介いただきます。3月のおすすめを教えてくださるのは、清水千秋さん。さあ、3月はこれ読もう!

3月は、これ読もう!

春がすぐそこまで近づいている3月。少し暖かくなって、桜や菜の花、たんぽぽの花なども次々と咲き始める頃です。「桃の節句」ともよばれる、「雛祭り」もありますね。なんだか、心がウキウキ、ワクワクしてきます。

そんな季節に読んでほしい本を集めてみました。

ピックアップ ①
『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』

馬場のぼる 作 / こぐま社 / 幼児から

漫画家としても知られる著者による、しりとり遊びの絵本です。ぶた・たぬき・きつね・ねこ・こぶた・たんぽぽ・ぽけっと・とんぼ・ぼうし……。こぶた、まめだぬき、こぎつね、こねこが徐々に加わり、しゃぼん玉で遊んだり、スケートボードに乗ったり、縄跳びをしたり。恐竜や鬼も登場します。最後には、お母さんたちが迎えにやって来て、遊び疲れた子どもたちをおんぶして帰ります。

全体にひとつのお話になっていて、どのページにも、ことばにぴったりとあう楽しい絵が描かれています。子どもたちに読むと、ページをめくるたびに、次にくることばを口々に予想するので、いろいろなことばが飛び交って大騒ぎに。しりとり遊びは、今の子どもたちにも人気があることを実感します。

ピックアップ ②
『いっすんぼうし』

いしい ももこ 文 あきの ふく 絵 / 福音館書店 / 幼児から

昔あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。ふたりには、子どもがありませんでしたので、「どうぞ こどもを おさずけください」と、お天道様にお願いしました。すると、おばあさんのお腹が痛くなって、親指ほどの小さな男の子、一寸法師が生まれました。一寸法師は、お椀の船で都に上り、大臣のお姫様に仕えることになります。ある日、姫のお供で清水寺にお参りしていると、恐ろしい鬼が現れ……。

有名な昔話なので、絵本もたくさん出ていますが、中でもおすすめしたい一冊です。美しい文章と大和絵風のあでやかな絵が調和し、気品漂う絵巻を見るよう。たんぽぽとつくしで埋め尽くされた野原や、見事な枝垂桜(しだれざくら)が満開の清水寺なども、物語のイメージを膨らませてくれます。

私が子どもの頃、祖母が読み聞かせてくれた思い出深い絵本です。大学生の頃、ある展覧会で、秋野不矩さんが描いたインドを題材とした日本画を観て、「私、この人の絵、知ってる!」と、子どもの頃の記憶とリンクして、驚いたことがありました。

ピックアップ ③
『三月ひなの
つき

石井桃子 作 朝倉摂 絵 / 福音館書店 / 小学生から

10歳のよし子のお父さんは、一昨年、亡くなりました。それ以来、お母さんは洋裁の仕事をして、ふたりでつつましく暮らしています。

2月になり、雛祭りが近づいてきました。よし子は雛人形が欲しいのですが、お母さんは、お店に並んでいるような既製品を買おうとしません。お母さんは、自分が小さいときに持っていた木彫りの寧楽雛(ならびな)が、あんまり素敵だったので、どんなお雛さまも気に入らなくなってしまったのです。それは、残念なことに、空襲で焼けてしまっていました。お母さんの気持ちがわからなくはありませんが、よし子の心には、どうしようもない不満が募ります。

母子の心の動きをこまやかに描き、心を込めて作られたもののもつ美しさや値打ちを、静かに語りかける味わい深い作品です。

この作品のモデルとなったお雛さまが、作者の石井桃子さんが始めた「かつら文庫」(東京子ども図書館の分室。所在地は東京都杉並区)で、2026年2月と3月に特別公開されます(ご案内ページへ)。早春のひととき、足を運んでみてはいかがでしょうか。

3月のおすすめブックリスト

≪幼児から≫

④『もこもこもこ』
谷川俊太郎 作 元永定正 絵 / 文研出版
明け方の空のような光を含んだ藍色の地平線の下から、何かが「もこ」と盛り上がります。それは「もこもこ」と大きくなり、そのとなりにも何かが「にょき」。現れては、消え、そしてまた現れて……。美しい色彩の絵と、詩人・谷川俊太郎さんの言葉があいまって、不思議な魅力を放ちます。

⑤『まりーちゃんとひつじ』
フランソワーズ 文・絵 与田凖一 訳 / 岩波書店
「まりーちゃんが きの したに すわってます。まりーちゃんは ひつじの ぱたぽんに いいました」。ぱたぽんが、いつか子どもを1匹産んだらこれが買える、2匹産んだらあれが買えると、まりーちゃんの空想は広がって……。歌うような調子でくり返される文章が心地よいお話です。行方不明のあひる・までろんを捜す「まりーちゃんのはる」も入っています。

⑥『たんぽぽ』
平山和子 文・絵 北村四郎 監修 / 福音館書店

冬の間、葉を寝かせていたタンポポが、春には新しい葉を出して立ち上がり、花を咲かせ、それが綿毛となって根付き……。タンポポの一生を、精密な絵と簡潔な文章で描く科学絵本。4ページにわたって描かれる長い根や、見開きいっぱいに並べられた240もの小さな花の絵は迫力満点で、一見の価値があります。

⑦『もりのこびとたち』
エルサ・ベスコフ 作 大塚勇三 訳 / 福音館書店
深い深い森の奥、松の木の根元に住む、両親と元気な4人の小人の子どもたち。こりすたちとかくれんぼして遊んだり、こうもりの背中に乗せてもらって飛んだり。トロルの潜む神秘的な森での四季の暮らしを、古典的な絵と詩的な文で綴った、スウェーデンを代表する絵本作家の作品です。


ネコが大好きなので、ネコが出てくる本も2冊ご紹介します。

⑧『ちいさなねこ』
石井桃子 文 横内襄 絵 / 福音館書店
ちいさなねこは、お母さんねこの見ていない間に縁側からひとりで外へ。子どもに捕まったり、車にひかれそうになったり、大きないぬに追われたり。1960年代に描かれた本なので、子どもの服装や車など、大人はやや古めかしく感じるかもしれません。でも、子どもたちはそんなことは飛び越えて、こねこになりきって真剣に聞いています。

⑨『あくたれラルフ』
ジャック・ガントス 作 ニコール・ルーベル 絵 石井桃子 訳 / 童話館出版
ねこのラルフはどうしようもない悪たれ。それでも飼い主の女の子セイラはラルフが好き。ところがある晩、家族でサーカスを見物中に、綱渡り芸人を突き落とすなど、悪たれの度が過ぎて、ラルフはサーカスに置き去りにされてしまい……。
子どもたちに読むと、悪たれの限りを尽くすラルフの姿から、目が離せなくなるようです。セイラが「ラルフ、ときどきあんたを かわいいとおもえなくなるわ」とつぶやく場面がありますが、まさにその通り! ねこ好きの人は、きっと共感するはずです。


≪小学生から≫

⑩『植物記』
埴沙萠 写真・文 / 福音館書店
大分県国東半島に居を構えていた著者が、約1,900枚の身近な植物の写真を、4月から3月までの月毎に歳時記風にまとめた写真集です。3月。大きく映し出されたツクシの写真に、「土のなかで冬をこしてきたツクシが、土の上にでてくる。……テントウムシがのぼってきて、どっこいしょととびたつ」と添えられるなど、解説もユニーク。

 
 東京子ども図書館のサイトはこちらから

 

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