来月は これ読もう!

電車(でんしゃ)の本は、これ読もう!≪東京子ども図書館の職員がおすすめする電車の絵本&読み物12選≫

絵本 |
アイキャッチ画像

東京子ども図書館の皆さんに、毎月おすすめの本をご紹介いただく連載です。
今回からジャンルごとに、おすすめの本を紹介していただきます。

最初のテーマは、電車(でんしゃ)。選者は護得久えみ子さんです。さあ、電車の本はこれ読もう!

でんしゃ、だいすき!

児童室にいると、ときどき、新幹線のリュックを背負った子や、鉄道のイラストのシャツを着た子を見かけます。なにをかくそう、わたしも鉄道好き。「それ、E5系だね?」などと話しかけながら、電車の写真集を見て、盛り上がることもあります。そんな子たちと楽しんでいる、電車(と、ときどき汽車)の本を集めてみました。
 

ピックアップ ① 『ちいさいきかんしゃ』

ロイス・レンスキー 文・絵 わたなべ しげお 訳 / 福音館書店 / 幼児から

まるっこい顔に、まるっこい体の「スモールさん」が主人公のシリーズの1冊。

スモールさんは、小さい機関車の機関士。ご自慢の機関車を毎日手入れして、機関庫から出し、転車台に乗せて、線路にうつす。水と石炭を積み、郵便車と客車をつないで、車掌の合図で「しゅっぱつ しんこう!」。機関車が終点の駅につくまでが順を追って描かれます。

蒸気をあげながら「しゅっ しゅっ しゅっ!」と走る汽車は迫力満点。まえに、児童室の鉄道好きの子と読んだとき、その子のあまりの引き込まれっぷりに、汽車の走る速さや勢いを体に感じたことがありました。

ピックアップ ② 『でんしゃがはしる』

山本忠敬 作・絵 / 福音館書店 / 幼児から ※品切

東京のまちをぐるぐるまわる、山手線。朝早くから夜遅くまで、走り続ける。
「そとまわり でんしゃ、しゅっぱつしんこう!」 品川駅を出て、京浜急行線と立体交差。もうすぐ、大崎駅。貨物列車がやってきた……。
山手線が各駅に停車しながら一周する様子を描いたユニークな絵本。

月刊誌での刊行は1978年で、登場する山手線は「10りょうへんせいの こくてつ でんしゃ」。他に出てくる電車も、いまは走っていないものばかり。
でも、表情があるような電車たちが立体交差したり、並走したりしていく様子は、いまの幼い鉄道好きをも魅了します。

小学1年生のある男の子は、新宿駅のたくさんあるホームと、そこに並ぶ車両を見て大興奮。彼の知っている今のホームや車両とどう違うか、熱く語ってくれました。いまはもう手に入らない本ですが、ぜひ、近くの図書館で探してみてください。

ピックアップ ③ まちの電車大百科

イカロスのりものKids編集部 編 / イカロス出版 / 幼児から

電車を描いた絵本もいいけれど、いつも駅や踏切で出会う、本当の電車の写真が見たい! という子もいますよね。

この本には、北海道から九州まで、各鉄道会社の通勤電車が地域ごとに集められています。自分の住む地域の電車はもちろん、乗ったことのない車両や路線に、「乗ってみたいなあ…」と思いを馳せるのも、また、楽しいものです。

姉妹編として『とうきょうの電車大百科』『なごやの電車大百科』『おおさかの電車大百科』『新幹線大百科』などもあるので、好きなエリアの本を楽しむこともできます。

電車(でんしゃ) おすすめブックリスト

④『がたん ごとん がたん ごとん』
安西水丸 作 / 福音館書店 /幼児から
「がたんごとん がたんごとん」3両の客車を引いた汽車がはしっていきます。すると、ほ乳瓶が「のせてくださーい」。汽車は、ほ乳瓶をのせると、また「がたんごとん がたんごとん」。こんどはコップとおさじが「のせてくださーい」……。くっきりした形と鮮やかな色の絵で、終点までの旅が描かれます。「がたんごとん がたんごとん」のリズムは口に出して楽しく、幼い鉄道好きの「もっかい!」に何度もこたえたくなります。

⑤『でんしゃ すきなのどーれ』 
岡本雄司 作 / 福音館書店 / 幼児から
電車を正面からみた「かお」をならべたり、横からみたところをならべたり。見開きごとにたくさんの電車が勢ぞろい。登場するのは、新幹線やいろいろな路線の特急列車もあれば、通勤電車、路面電車に貨物列車も。「すきなのどーれ」と言いながら、お気に入りを選ぶ子もいれば、それぞれの車体をじっくり眺めて楽しむ子も。

やこうれっしゃ 西村繁男 作 / 福音館書店 / 幼児から
夜9時半過ぎに上野駅を出て、翌朝6時55分に金沢駅に着く夜行列車を描いた、文字なし絵本です。小さな女の子とお父さん、赤ちゃんをおぶったお母さんが、この列車に乗り込みます。上野駅のホームはスキー板を抱えた人や風呂敷包みを持った人でにぎわい、走り始めた列車の中は、夜が更けるにつれて静まり、車外では次第に雪が降り始め……。横長の画面に、40年以上前の夜行列車の車内を断面図で描き、時間と場所が移り変わっていく様子を見せてくれます。起伏のある物語はないけれど、絵をくまなく眺め、自分でお話を作っていくのも楽しいです。

⑦『しゅっぱつ! でんしゃの うんてんし』 
羽尻利門 作・絵 / 金の星社 / 幼児から
ぼくは、電車の運転士。事務所で制服にきがえたら、体調や持ちものをチェック。ホームに向かう前に、乗務点呼。「ほんじつ、1ばんせん・11じ28ふん・825れっしゃ・にしのやまゆき、こうたいからいってまいります!」 電車をホームで迎え、前の運転士と交代する。さあ、ぼくのばんだ。子どもたちが憧れる電車の運転士の仕事を、翌朝の乗務終了まで、取材をもとに描いた絵本です。お客さんを、時間通りに安全に、目的地まで届ける使命感が伝わってきます。

⑧ ずかんえほん『しんかんせんのおしごと』 
スズキサトル 絵 / 交通新聞社 / 幼児から
午前11時の東京駅。東海道新幹線の切符売り場では、駅員が新大阪に向かう家族に切符を販売。11時33分、ホームでは、車内を清掃するエクスプレスドレッサーが新幹線を待ち受ける。座席が濡れていないか調べる機械などを駆使して約10分で作業する。11時48分、いよいよ出発! 新幹線に関わる10の仕事を、くっきりした絵と簡潔な解説で紹介する絵本です。制服やお仕事道具も取り上げられているので、すみずみまで読んで楽しめます。

⑨『地下鉄のできるまで』 
加古里子 作 / 福音館書店 / 幼児から
地面の下を走る地下鉄。その開通までの工事を、こまやかに描きこんだ図で見せてくれる絵本です。工法には地面を上から掘って四角いトンネルをつくる「開削工法」と、地面の中に機械をいれ、モグラのように丸いトンネルを掘っていく「シールド工法」があること、作業に使う機械や、駅の建設などが順を追って描かれます。読んだ後は、「このトンネルは丸いから……シールド工法だ!」と思わず言いたくなります。

⑩『ふたごのでんしゃ』 
渡辺茂男 作 堀内誠一 絵 / あかね書房 / 幼児から
「べんけい」と「うしわか」は、ふたごの路面電車。単線の線路を、町の東から西へ、西から東へ、町の人たちを乗せて走っていました。すれ違うのは、唯一複線になっている、市役所前の停留所。ところが、だんだん電車通りを走る車が増えて……。東京都日野市にあった「電車図書館」をモデルにした幼年童話です。大きめの字と、表情たっぷりの電車の絵で、一人で読みたい低学年の子にもすすめやすい1冊です。

⑪ 『鉄道記』
真島満秀 写真・文 / 福音館書店 / 小学生から ※品切
1,200点あまりの写真を収めた、大型の鉄道写真集です。電車の車体だけを収めるのではなく、著者の「生きている人々や自然と、鉄道がいかにかかわっているかを撮らなければならない!」という信条のとおり、各地の四季の沿線風景や、通学・通勤する人たち、駅員や作業員の姿も捉えられています。日本の鉄道が、こうして人々の暮らしとしっかり結びついてきたことが浮かび上がってきます。パンタグラフや台車だけを集めたページや、券売機の写真など、細かいところに目配りされているのもすてきです。

⑫ 『ぼくは「つばめ」のデザイナー』 
水戸岡 鋭治 著 / 講談社 / 小学生から
著者の水戸岡鋭治さんは、九州新幹線800系「つばめ」のデザイナー。ほかにも、「ゆふいんの森」「ソニック」なども手掛けた方です。その水戸岡さんが、「つばめ」完成までを、自身の子ども時代からの道のりも織り交ぜながら語ってくれます。新幹線のデザインには、いろいろな制約がある中で、どんな内装・外装にしていくか、水戸岡さんの工夫や、「つばめ」に込めた思いが伝わってきます。読者対象は小学校高学年以上ですが、デザイン図や写真もたくさん入っているので、児童室では小さい人たちが眺めて楽しんでいることも。

 

 

 

来月は これ読もう!
9月は これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする9月の絵本&読み物10選≫
アイキャッチ画像
来月は これ読もう!
10月は これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする10月の絵本&読み物 11選≫
アイキャッチ画像
絵本のとびらを開いたら
《絵本のとびらを開いたら》第7回「読み継がれてきた本の力」②
アイキャッチ画像

おすすめの記事