来月は これ読もう!

9月は これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする9月の絵本&読み物10選≫

絵本 |
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季節の本を楽しみたい! そう思っていても、あわただしく過ごしていると、あっという間に、もう次の季節……。それなら少し余裕をもって、準備を始めてみませんか?

この連載では、子どもたちに本を手渡しつづけている東京子ども図書館の皆さんに「来月のおすすめの本」をご紹介いただきます。9月のおすすめを教えてくださるのは、清水千秋さん。さあ、9月はこれ読もう!

月は、これ読もう!

まだまだ暑い日もありますが、少しずつ、秋の気配が感じられるようになってくる頃です。秋の虫たちの声も聞こえてきます。おいしい果物や野菜も旬を迎えますね。

そんな9月にちなんだ本を、ご紹介します。
 

ピックアップ ① 『ラッセのにわで』

エルサ・ベスコフ 作・絵 石井登志子 訳 / 徳間書店 / 幼児から

小さな男の子ラッセが、庭でボール投げをしていると、カエデの枝に引っかかってしまいました。見ると、知らない男の子がボールを持って枝に座っています。その子は「くがつ」という名前で、ラッセがボールを返してと頼むと、「ほら、とってごらん」と言って、ボールをマルスグリの茂みの方へ放り投げました。

ふたりがボールを追っていくと、小さな緑色の子どもたちが飛び出してきて、ボールの取り合いをはじめました。「ボールをかえして」とラッセが頼むと、「だめだめ、すぐには かえせないよ。ラッセは きょねんのなつ、ぼくらの まだ あおいみを とっただろう。これで あいこ。あっちに なげるから、さがしてみろよ!」と子どもたちは言い、ボールを赤すぐりの茂みに投げました。すると、今度は、赤すぐりのお嬢さんが顔をのぞかせました。次は黒すぐりのおじさん、その次はサヤエンドウを守るかかしのおじさん、りんご夫人、プラムの娘さん……と、植物の妖精たちが次々に現れます。ふたりはボールを追って、庭じゅうを巡り……。

それぞれの装いも個性的で素敵です。初秋の実りの喜びと美しさを、落ち着いた色調の水彩とともに描いています。スウェーデンを代表する絵本作家 エルサ・ベスコフ(1874-1953年)による古典絵本です。

ピックアップ ② 
愛蔵版 おはなしのろうそく1『エパミナンダス』

東京子ども図書館 編 / 東京子ども図書館 / 小学生から

この本には、全部で11編の昔話や手遊び、なぞなぞが入っています。その中から、「十二のつきのおくりもの」というスロバキアの昔話を紹介します。

昔、あるところに、夫をなくして、ふたりの娘と暮らしている女がいました。姉娘のホレーナは、この女の子どもでしたが、妹のマルーシカは継子でした。女はホレーナばかりかわいがり、マルーシカには、いつもつらくあたりました。ホレーナは、一日中、遊んで暮らしているのに、マルーシカは、朝から晩まで、水をくんだり、薪(まき)を割ったり、掃除をしたりして、働かなくてはなりませんでした。けれども、マルーシカは少しも嫌がらないで、せっせと働きました。

ある寒い冬の日、ホレーナが「マルーシカ、森へ行ってすみれをつんできてよ。おびにかざるんだから」と言い出します。マルーシカが泣きながら、深い雪が積もる森をさまよううち、焚き火を囲んでいる、1月から12月までの月の精たちに出会います。冬の月はおじいさんたち。秋の月、夏の月と少しずつ若くなり、春の月は美しい若者たちでした。12の月の精たちに、すみれを探しに来たことを話すと、不思議なことが起こり……。

不幸な境遇に負けることなく勤勉に働く少女が月の精に助けられるというこの昔話は、似たような話が、東欧やロシアに広く伝わっています。日本でもよく知られているマルシャークの戯曲「森は生きている」も、ロシアの類話が元になっています。

お話の中に、9月の精も登場しますよ。どこに出てくるか、探してみてください。

ピックアップ ③  
科学のアルバム鳴く虫の世界

佐藤有恒 写真 小田英智 文 / あかね書房 / 小学生から

9 月が近づいてくると、草むらの上で、ギ―、チョン、ギーと、暑さを歌っていたキリギリスの声もまばらになり、コオロギたちの季節を迎えます。夜の川原の草むらでは、黒いコオロギの体は目立たず、草の根元をはいまわり、やわらかな草や虫の死体など、何でも食べます。コロコロリリリと鳴いていたエンマコオロギの鳴き方が、コロコロリーと変わるときは、近くにメスがやって来た証拠。でも、近づいたのがオスだとわかると、キリッキリッと短く、鋭い鳴き声で追い払います。鳴く虫の鳴き声は、見分けのつかない草むらの中で、自分たちのいる場所を、仲間に知らせる音の合図なのです。

この本では、鳴く昆虫の生態やからだのつくりを、ていねいに紹介してくれます。翅(はね)や脚にある小さなギザギザの突起を捉えたクローズアップ写真を見ると、鳴く仕組みがよくわかるはずです。日本には、変わった鳴き方をする虫や、美しい声で鳴く虫がたくさんいます。涼しくなったら外に出てみて、どんな虫が鳴いているか探してみませんか?

月のおすすめブックリスト

≪幼児から≫

④『くだもの』 平山和子 作 / 福音館書店
表紙には、たくさんのさくらんぼ。ページを開くと、大きな丸ごとの「すいか」が。大きく切ってお皿にのせて「さあ どうぞ」。 桃やぶどう、梨など、子どもたちに馴染みのある果物の丸ごとの姿と、切ったり洗ったりして、「どうぞ」とさし出される様子が、シンプルにくり返されます。本物そっくりの写実的な絵で描かれているので、子どもに読むと、ごっこ遊びのように、果物を食べる真似をしながら、聞いてくれることが多いです。

⑤『ソフィーのくだものばたけ』 ゲルダ・ミューラー 作 ふしみ みさを 訳 / BL出版
庭仕事が大好きな女の子ソフィーは、大きな町から南フランスの田舎へ引っ越すことになりました。新しい家には広い庭と果物の木がたくさん。お隣に住んでいて、農業高校に通うマノンに教わり、イチジクやオレンジを収穫します。秋には、友だちの家でクルミをとったり、近くの山でクリ拾いをしたり……。みなさんも、ソフィーと一緒になって、たくさんの果物や木の実について、知ることができるはずですよ。

⑥『りんごのき』 エドアルド・ペチシカ 文 ヘレナ・ズマトリーコバー 絵 うちだ りさこ 訳 / 福音館書店
小さい男の子マルチンの家の庭にある1本のりんごの木。雪の中、棒のように見えた木は、春が来ると芽吹き、花がいっぱい咲きました。夏、おひさまが照りつけると、りんごの実がふたつ、大きくなりました。マルチンは、じょうろに水を入れて、りんごの木にまいてやりました。ある秋の日、マルチンが庭へ出てみると、りんごの実がすっかり赤くなり……。家族と一緒にりんごの木の世話をするマルチンの姿がなんとも愛らしいチェコの作品です。幼い子も、この絵本を通して四季の変化を感じとることができるでしょう。

⑦『りんごりらっぱ あべ けんじ 作 / 福音館書店
りんごをごりらが見つけて、「りんごりら」。 らっぱも持って、「りんごりらっぱ」。 そこへ、ぱんだもやって来て、続けて読むと、「りんごりらっぱんだ」。さらに、だるまも転がってきて……。言葉が次々とつながって、まるで呪文のようにひとまわりする、しりとり絵本です。くっきりした絵と描き文字が相まって、温かな雰囲気を醸し出しています。ぜひ、声に出して楽しんでみてください。

⑧ しょくぶつ・すくすくずかん『リンゴ』 バーリィ・ワッツ 作・写真 舟木秋子 訳 / 評論社
リンゴの育つ様子を、写真やイラストで紹介する幼い子向けの図鑑です。冬、リンゴの木は、葉も実もなくひっそりと休んでいます。春、明るい緑の葉がひらき、ハチを誘う花が咲きました。夏の間、実がどんどん大きくなって、秋に熟します。やがて、葉が散り……。四季折々のリンゴの姿を、やさしい言葉で伝えてくれます。画面いっぱいに大きく写された、かわいいリンゴの花の写真を、子どもと一緒に眺めてください。

≪小学生から≫

⑨『子どもに語る イタリアの昔話』 剣持弘子 訳・再話 平田美恵子 再話協力 / こぐま社
イタリアの陽気で色鮮やかな雰囲気が伝わる昔話が15話収載されています。「りんご娘ニーナ」では、ある日、ニーナという女の子が、父さんにりんごと一緒にかごに入れられて、王さまのお屋敷に運ばれてしまいます。ニーナは、どんな仕事でも喜んで手早く片づけたので、お妃のお気に入りになりました。それをねたんだ他の召使いたちは、ニーナを憎むようになり、ありもしないことを、お妃に言いつけて、ニーナに無理難題を押しつけます。ニーナが泣いていると、衣装だんすの中から美しい若者が出てきて、ニーナを助けてくれますが……。

⑩ 『九月姫とウグイス サマセット・モーム 文 武井武雄 絵 光吉夏弥 訳 / 岩波書店 / 小学生から ※品切
東南アジアにある国シャム(現在のタイ)の王さまには、九人の娘がありました。末娘の九月姫は、意地悪な姉たちにそそのかされ、美しい歌声で自分を慰めてくれたウグイスを、かごの中に閉じ込めてしまいます。自由を奪われたウグイスは、歌を歌わなくなってしまい……。イギリスの文豪モームによる唯一の子ども向けの作品に、日本の先駆的画家がさし絵をつけた物語です。ある小学校でこの本を紹介したところ、続きを読みたい子が多すぎて、結局、司書の先生が、クラス全員に読み聞かせをしてくださったこともありました。

 

 

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