こどもに聞かせる 一日一話

『まほうのつえ』 荒川薫 文 のだよしこ 絵 #読み聞かせ

子育て |
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子どもに読んであげられる短いお話を、季節ごとに7話ずつお届けする「一日一話」。眠る前のひとときや、電車移動の時間など、さまざまなシーンでお楽しみください。 ※見開きの形に整えたPDFをページ後半に用意しています。絵を見せながら読んであげたい方は、こちらをプリントしてお使いください。

まほうのつえ

荒川 薫 文 のだよしこ 絵

ワタルは元気な5さいの男の子です。 
まえは、にぎやかな町の中にすんでいましたが、今はひっこしをして、町はずれのしずかなところにくらしています。
家の近くには畑があったり、竹やぶや木がしげっている丘があったりします。ワタルはそういうけしきが、めずらしくてしかたありません。

ある秋ばれのにちよう日です。

「そうだ! 今日はひとりでたんけんをしよう」 
ワタルは近くの丘へたんけんに行くことにしました。

「いってきまーす」 
ワタルは元気よくでかけました。 

ちょっと歩いていくと、道ばたに木のえだがおちていました。まっすぐで、はしっこがまるくこぶのようになっていて、とても持ちやすいぼうです。

ワタルは、さっそくそれをつえにして、じめんをトントントンとついてみました。なんだか、わくわくして、すてきなことがおきるような気がしてきます。
「わあ、まほうのつえみたい。よし、これをもっていこう」 

 トントン たんけん 
 トントン たんけん 

つえをつきながら、ちょうしよく歩いていくと、じきに丘をのぼる道にやってきました。

まわりには木がたくさん生えていて、うすぐらくなっています。ほそいさか道がてっぺんの方にむかっています。でもつえがあるので、さか道もどんどんのぼれます。

 トントン さかみち
 トントン さかみち 


そのうち、おちばがいっぱいの道になってきました。つえをつくとシャクシャカ、ワタルが歩くとジャクジャカ。おもしろい音がします。

 シャクシャカ ジャクジャカ 
 さかみち たんけん 

「あとすこしで、てっぺんだ。何が見えるかなあ」 

 シャクシャカ ジャクジャカ 
 さかみち たんけん 

「さあ、ついた、よいしょっ! あれっ? ここは……けやき公園みたい……」
ワタルは目をまんまるくしました。丘をのぼって高いところに来たと思っていたのに、ついたところは、幼稚園のえんそくで来たことがあるけやき公園のしばふひろばなのです。

そして、もっとびっくりしたことに、用事で出かけていたお父さんが、ひろばのむこうから歩いて来たではありませんか。 

お父さんは 
「ただいまー。もう帰るとこだよ。バス通りを歩いて行くより、この公園から、さか道をおりた方が、家へ帰るちか道なんだ。はい、おみやげー」 
と、ワタルに、おみやげのケーキの箱をわたしてくれました。 

ワタルは、びっくりするやら、うれしいやら。
「ありがとー!」といいながら、つえを、いきおいよく、トントン トントン! と、なんどもなんどもつきました。

ほんとうに、すてきなことがおきたのです。

帰りは、つえをお父さんにかしてあげて、ワタルは、おみやげをしっかりだいじに持って帰りました。

おしまい 

 

 
◆子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。

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