いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか? この連載では、気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」を教えていただきます。
第 16 回は、2026年10月刊行の新刊『ふゆに さがそう いいもの いくつ?』の作者 おおたぐろ まりさんです。
一番のお気に入りは、お散歩。お昼頃、家の周りの田んぼや池を、双眼鏡とカメラを持って歩く。朝夕は歩く人が多いけれど、お昼は人気がなくて案外よいのだ。
季節の木や花を愛で、鳥たちを見てホッとする時間だ。日々歩いていると意外な出会いがある。一番印象に残っているのは、大雨が続いて久々に晴れた日のこと。普段姿を見せない鳥たちが、畑の縁に並んで翼や体の羽根を広げて乾かす光景にであった。
その朝、私も洗濯物を外に干してきたところだった。
鳥も私も、同じように濡れたものを太陽で乾かしていると思うと、なんだか嬉しくなった。 そういう出会いがあるから、やめられない。



野鳥が好きで、気づけば手元に羽根が集まってきていた。拾ったり、もらったり。形も色も様々で、持ち主の姿を思うだけで心が弾む。
ときどき箱を開けて眺めるのは、タカ斑(*)の入った猛禽類の羽根。美しくてしなやかで、かつ強い。
なかでもお気に入りは、フクロウの風切り羽、尾羽など大きな羽根。表面に細かい毛が生えていて、ビロードのような手触り。フクロウは2つの目が顔の前に付いていて、ほかの鳥と見た目も違うけれど、羽根1枚からして独特なのだ。闇夜で音もなく飛ぶ姿を想像しながら、滑らかな羽の手触りを楽しむのは、私にとっての小さな至福だ。
* タカ斑(たかふ)は、タカの仲間に多く見られる、白地に黒(または褐色)の縞模様


若いころから器好き。絵が付いているものが好みで、好きが高じて西洋絵付け、有田焼の絵付けなどを習っていた。食器のことを夢に見るほど、器の世界にのめり込んでいた時期もあった。
今はその熱も落ち着き、物欲も減ったけれど、毎日朝に使っているマグカップは、40 年前ドイツ旅行で買ったもの。昼間のコーヒーは、20 年前自分で描いた有田焼のカップ。
人から見たら、なんてことないものだけど、自分の歴史の一証人みたいな存在。手に取るたび、落ち着く気がする。

◆ 新刊の刊行に寄せて ◆
南北に長い日本列島、冬といっても大雪の降る地域から降らない地域まで様々です。『ふゆに さがそう いいもの いくつ?』は、私の住む関東で、12月末の里山を取材して作りました。地面が雪に覆われて見えなくなる前に、いいもの探しをしてみましょう。

雑木林は葉が落ちて、樹上に隠されていたものが見つけやすくなります。目立つのは、枝の間に作られた、鳥たちの古巣。こんなところで子育てをしていたのだなあと、びっくりします。
そしてぜひ見てほしいのは、カモたち。秋に日本に渡ってきたばかりの頃は、地味な羽色ですが、12月末にはオスが鮮やかな羽色に着替えています。そのオスたちが、メスのまわりで水をはね上げたり、体を反らしたり、プロポーズのディスプレーをする姿が見られるかもしれません。
数えて楽しむ “いいもの” のほかにも、いろいろな命が絵の中に隠れています。絵探しを楽しんでいただけたら嬉しいです。冬ならではの出会いを絵本で楽しんだ後は、実際に外に出て、あなたの “いいもの探し” をしてくださいね。
*「ちいさなかがくのとも」2023年12月号 折り込み付録「作者のことば」より抜粋
文・写真 おおたぐろ まり
来月は これ読もう!
えほんとわたし
えほんとわたし
有賀さんの スープと、やさいと。
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
親子でたのしい! えほんやさんぽ
こどものこころの保健室
母の気も知らぬきみ
こどもに聞かせる 一日一話
母の気も知らぬきみ
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
母の気も知らぬきみ
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
母の気も知らぬきみ
あの人の ほっとするとき ほっとするもの