こどもに聞かせる 一日一話

『あめをふらせないくも』矢部太郎 文・絵 #読み聞かせ

子育て |
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2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を一挙にまとめて掲載するものです。その「一日一話」を、2025年12月から「とものま」で再開しました。季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けします。
 

あめをふらせないくも

矢部太郎 文・絵

くものこども
なまえは くもくも

くもなのに
あめを ふらせなかった
 

みんなは たくさん
あめを ふらせるのに

しとしと
ざあざあ

じゃぶじゃぶ
ぱらぱら

やまを ぬらしたり
かわを はやくしたり

きを そだてたり
みずうみを あふれさせたり
 

でも
くもくもは
ひとつぶも
ふらせなかった

みんなは
もくもく もくもく
おおきくなった

でも
くもくもだけ
ちいさいままだった
 

かぜがふくと

みんなは
たのしそうに
おどった

でも
くもくもは
おどれなかった

みんなは
おどりながら
あめをふらせた

ぽつぽつ
ぱらぱら

ぽくぽく
じゃばじゃば
 

くもくもは
うまくおどれなくて

かぜに
ながされた

やまをこえ
まちをこえ

しらない
ところまでやってきた

くもくもは
つかれて
たかいやまに
こしかけた

そのとき
いっぴきの
としとったカラスが
くもくもを みていた



「おまえさん くもだね
のどが かわいたから
あめを ふらせてくれないかい」

くもくもは
カラスにあやまった

「ごめんなさい
ぼくは あめを
ふらせないんです」

カラスはいった

「ああ そうかい
かまやしないよ
どうせ もう
ながくないんだ」

かぜがふいた

くもくもは
カラスのために
おどった

でも
くもくもは
あめを ふらせない

カラスはいった

「かぜに
ながされるんじゃない

かぜに のるんだよ

そう
かぜにのると
うまくいくのさ

かぜにのって
くもは
あめを ふらせて
とりは とぶのさ

かぜにのって
いろんな ところへ
いったもんだ」

カラスは
とおくをみながら
いった

「じゃあ
そろそろ
さようなら」

カラスは
うごかなくなった

おおきなかぜが
ふいた

くもくもは
ちからを ぬいた

すると

くもくもは
はじめて
きもちよく
そらを ながれた

ぷかぷか
ほわほわ
ふわっぽ
ふわっぽ

カラスさん
ありがとう

くもくもは
カラスのことを
おもった

ぽつ

あめが
ひとつぶ
おちた

 (おしまい)
 

  
◆子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。

 

 

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