あの人の ほっとするとき ほっとするもの

『くまのぼりす』シリーズの翻訳者・中野百合子さんの「ほっとするとき」

わたし |
アイキャッチ画像
いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか? この連載では、気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」を教えていただきます。


第 15 回は、『くまのぼりす』シリーズ(ディック・ブルーナ 文・絵)の翻訳者・中野百合子さんです。

ハイキングとキャンピング、時々サイクリング

普段はロンドンの街中に住んでいるので、休みになると新鮮な空気と広々とした空を求めて、歩きに出かけます。

数あるハイキング・ルートの中から、日数によってどこからどこまで歩くか決め、リュックサックにテントと寝袋を詰めて出かけます。車は持っていないので移動手段は公共交通機関ですが、よく調べるとけっこうどこまでも出かけられます。なだらかな牧草地が続く田舎道や、海岸沿いを歩くルートは、難しい技術や特別な装備も必要なく、誰でも気軽に楽しむことができます。

中でも好きなのはワイルド・キャンピング(Wild Camping)と言って、キャンプ場ではない、自然の中でテントを張って眠ること。できるところは限られていて、気をつけないといけないことももちろんありますが、よい場所が見つかれば、とても静かな時間を楽しむことができます。歩いた後に、地元の人が集まる居心地のいいパブを見つけて、地ビールを飲むのもまた楽しみのひとつです。大したことは何もしない、ただ歩くだけの静かな休暇ですが、心からリフレッシュできます。
 

編み物

編み物をしている時も、ほっとする時間です。イギリスに来て、素敵な毛糸が沢山売られているのを見て、編み物を始めたくなりました。ちょうどその頃出合った編み物上手な友だちに一から教えてもらい、シンプルなマフラーからはじめて、今では、靴下や、アラン模様のセーターなども編めるようになりました。

気が向くと何時間でも編んでしまうので、朝出かけた夫が夕方帰ってきて、同じところで同じ格好で編み物をしている私を見つけて、「今日は動いたの?」と心配されることもあります。
編み物をはじめてからは、待ち時間や長旅も苦にならなくなりました。さっと始められて、準備も片づけもいらないし、集中できるので時間はあっという間に過ぎるし、うまくいけば素敵なニットのセーターや小物が出来上がる。よいことしかありません!
 

本を読むこと、読んでもらうこと

色々好きなことはあっても、やっぱり読書をしている時が一番心が落ち着きます。

仕事のために本を読むことも多いですが、心を落ち着けたい時は、自分が好きな詩集や小説を読みます。決して速読ではないので、同じ本を何度も読むという贅沢はなかなかできないのですが、それでも、折々に手に取って読まずにはいられない本が何冊かあります。

また、せっかくイギリスにいるので、これまで日本語訳で親しんできた児童書の原書を、英語で読んでもらうこともあります。聞きながら、大笑いしたり涙を流したり、不思議な物語に夢中になったり。大人になっても、本を読み聞かせてもらうというのは、心にとてもいいものだなと思います。 
 

 
新刊の刊行に寄せて

松岡享子先生との共訳から始まった「ぼりす」の翻訳も、これで3シリーズ目になりました。自立していて、優しく、ほのぼのしたところが魅力のぼりす。今回のシリーズでは、山に登ったり、飛行機を操縦したり、船を作ったりと、ぼりすの活動的な一面が見られます。 

『ぼりす ぱいろっとになる』
『ぼりす ふねをつくる』
『ぼりす やまにのぼる』

一番心に残っているのは、ぼりすが、助けたこいぬを家に連れて帰り、こいぬのために家を作ってあげるところです。『ぼりすとこお』でも、ぼりすは旅人のこおを家に迎え入れ、温かくもてなしていました。出合う人をいつでも温かく受け入れられるぼりすの優しさが、今回もよく表れていると思います。そしてもちろん、ばーばらと一緒に心地よいテントを楽しんでいるぼりすにも、心から共感しました。

このシリーズも、沢山の子どもたちに愛され、長く読み継がれる本となるよう願っています。 

文・写真 中野 百合子

 
「くまのぼりす」シリーズはこちらから
 

 

  

あの人の ほっとするとき ほっとするもの
チェコ在住の絵本作家、出久根育さんの「ほっとするとき」
アイキャッチ画像
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
刺繍作家 junoさんの「ほっとするとき ほっとするもの」
アイキャッチ画像
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
『魔女の宅急便』の作者・角野栄子さんが「ほっとするとき・・・」
アイキャッチ画像