お正月に食べる、日本の伝統食「おせち」。そこに込められた意味や願いを、美しい絵と優しい言葉で伝える絵本『おせち』は、刊行と同時に大きな反響を呼びました。この連載では、絵本に登場するおせちから3つのレシピを、それぞれに込められた願いとともにご紹介します。
ひとつ目は、優しい甘さで子どもも食べやすい「栗きんとん」のレシピ。裏ごしをせず、ポテトマッシャーを使ったレシピなので、お子さんがお手伝いしやすいですよ。
さつまいものきんとんに栗を入れた「栗きんとん」には、2つの願いが込められています。
ひとつめは、栗に込められた「勝負運上昇」です。
栗を干して臼で搗(か)き、殻と渋皮を取り除いたものを「搗ち栗(かちぐり)」といい、古くから栄養があって保存がきく食べものとして利用されていました。
やがて、「搗ち」が「勝ち」に通じることから「勝ち栗」と呼ばれるようになり、栄養価の高い保存食として戦(いくさ)のときの食糧(兵糧)に用いられるようになりました。出陣するときの縁起担ぎとしても食べられていたそうです。
今では、栗そのものが勝負に勝つ縁起物になっています。
2つめは、きんとんに込められた「金運上昇」です。
きんとんは漢字で「金団」と書き、金の団子や金の布団という意味をもちます。
そして、黄金色の見た目が金塊や金の小判を連想させることから、富や財産、金運の象徴とされました。
こうして、縁起の良い栗ときんとんを合わせた栗きんとんは、「金運や勝負運があがり、豊かな年になりますように」という願いを込めて、おせち料理に欠かせない一品になったのです。
テキスト:三浦康子

さつまいも 1本(300g)
くちなしの実 1個
※入れると色鮮やかに仕上がります。手に入らなければなくても。
栗の甘露煮(市販) 栗130g程度
砂糖 60~70g
水 50㏄(1/4カップ)
甘露煮のシロップ 50㏄(1/4カップ)
※下線は子どもが手伝いやすい工程です。
① さつまいもの下ごしらえ
さつまいもは厚さ2㎝ の輪切りにし、皮を厚めにむく。かぶるくらいの水に30分以上つけてアクをとる。
② さつまいもを茹でる
さつまいもの水気をきり、鍋に入れて、かぶるくらいの水を加える。くちなしをお茶パックに入れ、潰して殻を砕いて鍋に加える。中火にかけ、沸いてきたら弱火にし、約15分、さつまいもに竹串がスッと入るくらいやわらかくなるまで茹でる。
③ さつまいもをつぶす
鍋のゆで湯を捨て、お茶パックのくちなしも取り除いて、あたたかいうちにポテトマッシャーでつぶす。

④ 火を入れて仕上げ
砂糖、分量の水、甘露煮のシロップを③の鍋に加え、よく混ぜて、再び火にかける。ふつふつしてきたら弱火にし、ヘラで鍋底から練り混ぜながら、5分ほど、ぽてっとするまで火を入れる。栗を加えて1分ほど混ぜて、火をとめる。
◆ 保存方法
保存容器に移し、冷めたら冷蔵庫へ。2~3日保存可能です。
レシピ作成・調理:満留邦子
写真:キッチンミノル
★おせちレシピ ほかの2品は明日、明後日公開★
*
\ほかにもレシピを知りたい方は…/