東京子ども図書館の皆さんに、毎月おすすめの本をご紹介いただく連載です。
ジャンルごとに、おすすめの本を紹介していただきます。
今回のテーマは、食べ物(たべもの)。
選者は笹岡智子さんです。さあ、食べ物の本はこれ読もう!
絵本や物語に出てくるおいしそうな食べものに、心ひかれたことはありませんか? 読んでいて思わずおなかがすいてしまうような、“おいしい” 絵本や読みものを集めてみました。
東京子ども図書館 編 / 東京子ども図書館 / 幼児から

お腹をすかせた7人の子どもたちのために、お母さんがホットケーキを焼きはじめます。ところが、子どもたちが口々にねだっているのをきいて怖くなったホットケーキは、フライパンからとびだして、逃げ出しました!
コロコロ転がっていく途中、ホットケーキは、男の人、メンドリ、オンドリ、アヒルなどに会い、「一口食べさせておくれ」と頼まれます。どれも断って転がっていくと、やがてブタに会って……。
ノルウェーの昔話。「おだんごぱん」など似た話はいくつかありますが、このお話は、言葉あそびのたのしさが加わり、子どもたちに特に人気があります。
ミルクのたっぷりはいったホットケーキが、ジュウジュウ音をたて、プツプツあわをふきながらふくらんでいく様子は本当においしそうで、小学校2年生のクラスでこのお話を語ったときには、まだ2時間目にもかかわらず「もうおなかがすいてきちゃった!」という声があがったほど。 耳で聞くとよりたのしいお話なので、ぜひ声に出して読んであげてください。
モーリス・センダック 作 じんぐう てるお 訳 / 冨山房 / 幼児から

「JANUARYは1がつ。/すてきなんだ、このつきは。/スケートはいて、/こおりの うえを すべって、/チキンスープ・ライスいりの/ほっかほかの やつを、/1くち ススス/2くち ススス/すすって すべる、/チキンスープ・ライスいり。」
お気に入りの「チキンスープ・ライスいり」と過ごす、1月から12月までを、それぞれの月のたのしみや季節の移り変わりとともに、リズミカルにうたいます。
「チキンスープ・ライスいり」とは、お米が少し入ったチキンスープのこと。チキンスープはアメリカの伝統的な家庭料理で、日本でいう “おふくろの味” のような存在だそうです。
原文では “chicken soup with rice” に続く言葉が韻を踏んでいます。日本語版でも、「チキンスープ・ライスいり」という響きは、子どもたちの耳に心地よく、なんともおいしそうに聞こえるようです。 手のひらにすっぽり収まる小さなサイズも魅力のひとつ。児童室で幼い子どもたちによく手に取られる1冊です。
飯野まき 作 / 福音館書店 / 幼児から

商店街のお豆腐屋さんで、桶にはいった大豆を見つけたみっちゃん。「こんなかたいまめがやわらかいおとうふになるの?」とびっくり。
翌朝、みっちゃんは早起きして、お母さんと一緒にお豆腐屋さんを見学させてもらいます。お豆腐屋さんのおじさんは、大豆を機械でつぶし、窯で煮て……。お豆腐ができるまでがていねいに描かれます。
しぼりたてのほっかほかの豆乳、水の中にとっぷんとっぷんと浮かぶできたての豆腐、こんがり揚がったあぶらあげにあつあげ、がんもどき……。 読み終えるころには、思わず「今日のごはん、お豆腐にしようかな」と言いたくなるほど、おいしさが伝わってくる絵本です。
幼児から
④『ジャムつきパンとフランシス』
ラッセル・ホーバン 作 まつおか きょうこ 訳 / 好学社
ちいさなアナグマの女の子フランシスは、ジャムつきパンが大好物。ほかのご飯は食べたくないと言い張ります。すると、朝ごはんもお弁当も夜ご飯も、ジャムつきパンばかり出てくるようになって……。いくら大好きでも、毎日三食同じではさすがに飽きてしまうもの。クラスメイトのお弁当(クリームチーズときゅうりとトマトが入ったライ麦パンのサンドイッチ、きゅうりの甘酢漬け、固ゆで卵、ミルク、ブドウ、みかん、カスタードプリン!)や、家族が夜ごはんに食べるトマトソースをかけたスパゲッティミートボールが実においしそうで、フランシスがうらやましくなる気持ちに、思わず共感してしまいます。

⑤ 『ぱくぱくはんぶん』
渡辺鉄太 文 南伸坊 絵 / 福音館書店
おばあさんが大きなケーキを焼きました。「半分残しといてね」と言われたおじいさんが、ぱくぱく半分食べていると、犬がやってきます。「半分残しとけよ」と言われた犬がぱくぱく半分食べていると、今度はねこがやってきて……。くりかえしで進むお話は、幼い子にもぴったり。ふっくらしたおいしそうなケーキが、だんだん小さくなっていく様子に、心配顔になる子もいますが、最後にはおばあさんのためにみんなが考えたおくりものに思わずにっこり。とぼけた雰囲気の絵も楽しい1冊です。

⑥『めっきらもっきら どおん どん』
長谷川摂子 文 ふりや なな 絵 / 福音館書店
遊び相手がいなくて退屈していた男の子、かんたは、神社にある木の根元の穴に吸い込まれ、不思議な世界へ迷い込みます。そこの住人、もんもんびゃっこ、しっかかもっかか、おたからまんちんの3人と出会ったかんたは、時が経つのも忘れて遊びまわりますが……。さんざん遊んでお腹がすいたかんたが「おもちのなるき」を見つける場面があるのですが、「ふうわりあまくてほっぺたがおちそう」な実のおいしそうなこと! 児童室の常連である4歳の女の子は、このページがお気に入りで、実を取って口にいれるしぐさをしては「ん~おいしいねぇ」とうっとりしていました。

⑦『こぎつねコンチ』
中川李枝子 文 山脇百合子 絵 / のら書店
きつねの男の子、コンチは、お父さん、お母さんと、きつねはらっぱの近くに暮らしています。春は原っぱでたんぽぽを摘み、夏は川で魚つり、秋はお月見に落ち葉かき、冬は元気に雪遊び……。四季の自然の中でのびのびと遊ぶ 12 の短いお話集です。 この物語の魅力のひとつが、ところどころに登場するおいしそうな食べもの。お母さん手づくりのぶどうジャムをのせたビスケット、きのこのスープとフライ、おせち料理にはコンチの好物のチーズとセロリとレタス入り。読んでいると、コンチ一家の暮らしのぬくもりが伝わって、読んでいるこちらの心もあったかくなります。

⑧『ロッタちゃんのひっこし』
リンドグレーン 作 ヴィークランド 絵 山室静 訳 / 偕成社
5歳の女の子ロッタちゃんは、3人きょうだいの末っ子で甘えん坊。朝からかんしゃくをおこし、お隣に住むベルイおばさんの家の物置の2階に「家出」してしまいます。 子どものころこの本が大好きで、ロッタちゃんが古い物置小屋を自分だけの家に整えていくところに憧れました。中でも、ごはんの時間にロッタちゃんが、長いひもをつけたかごを窓からおろすと、ベルイさんがかごの中にオレンジジュースと冷たいパンケーキとジャムを入れてくれる……あのやりとりが、とてもうらやましかったのをよく覚えています。

⑨『食いねぇ! お寿司まるごと図鑑』
福地享子 監修 阿部秀樹 写真・文 / 偕成社
お寿司についての知識がぎゅっとつまった、写真図鑑。赤身、光りもの、白身、貝など 91 種の握りずしのネタを、にぎったお寿司の写真と生きものの水中写真を並べて紹介しています。切り身やお刺身の姿しか知らない子も多く、児童室に来る子どもたちは興味津々で眺めています。「1皿2貫なのはなぜ?」などのコラムも充実していて、眺めてたのしい、読んでたのしい図鑑です。これを読んだら、お寿司屋さんに行きたくなること間違いなし!

小学生から
⑩ 『給食室のいちにち』
大塚菜生 文 イシヤマアズサ 絵 / 少年写真新聞社
山川さんは小学校の栄養士。今日の給食のメニューはカレーライス、サラダ、ゼリー。7人の調理員さんたちと協力して、450人分の給食を準備します。小学校の給食室を舞台に、給食が作られる様子をコマ割りで紹介した絵本。巨大な調理器具で大量の食材を調理する様子にワクワクします。後ろ見返しには給食室のマップも描かれていて、すみずみまでたっぷりたのしめます。

⑪ 『300年まえから伝わる とびきりおいしいデザート』
エミリー・ジェンキンス 文 ソフィー・ブラッコール 絵 横山和江 訳 / あすなろ書房
ブラックベリーの果汁にクリームを混ぜて冷やして作る、素朴なデザート「ブラックベリー・フール」。この絵本では、約300年前のイギリスから現代のアメリカまで、4つの時代の4つの家族が、このデザートをつくる様子が描かれています。時代とともに、クリームを泡立てる道具は小枝の束からハンドミキサーへと変わっていきます。でも、できあがったクリームを一口なめたときの「わぁ、おいしい」は、どの時代の子どもも同じ。絵のすみずみまで眺めると、くらしの道具や服装、家の様子など、時代ごとの違いもみえてきます。

⑫ 『みえる詩 あそぶ詩 きこえる詩』
はせみつこ 編 飯野和好 絵 / 冨山房
「もこもこ さといも/ほこほこ さつまいも/はりはり だいこん/ぱりぱり たくわん……」(中江俊夫「たべもの」より)
食べものとオノマトペの組み合わせが続く、ユニークな詩。声に出して読むと耳にも心地よく響きます。 この詩集には、ほかにもことばあそびやナンセンスなど、35 人の詩人の57 編の詩が集められていて、詩のおもしろさ、言葉の豊かさをたっぷり味わえます。

来月は これ読もう!
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えほんとわたし
絵本がいいってほんと?
絵本のとびらを開いたら
えほんとわたし
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
こどもに聞かせる 一日一話
有賀さんの スープと、やさいと。
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