来月は これ読もう!

犬(いぬ)と猫(ねこ)の本は、これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする絵本&読み物12選≫

絵本 |
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東京子ども図書館の皆さんに、毎月おすすめの本をご紹介いただく連載です。
今回からジャンルごとに、おすすめの本を紹介していただきます。

最初のテーマは、犬(いぬ)と猫(ねこ)。
選者は鈴木晴子さんです。さあ、犬と猫の本はこれ読もう!

犬が好き? 猫が好き?

おおむかしから私たち人間と暮らしてきた犬と猫。家族として、友だちとして、時には仕事のパートナーとしても欠かせない存在です。本の中にも、魅力的な犬や猫たちがいっぱいいます。犬が好き、猫が好き、どっちも大好き! という子も、実はちょっとにがて……という子も、ぜひお気に入りの1冊を見つけてください。
 

ピックアップ ① 『イヌのいいぶん ネコのいいわけ』

植木裕幸・福田豊文 写真 なかのひろみ 文 野矢雅彦 協力 / 福音館書店 / 幼児から

表紙から読むと犬の本。裏表紙から読むとタイトルが『ネコのいいわけ イヌのいいぶん』となって猫の本になる、ユニークな1冊です。

犬と猫がそれぞれ自分たちについて体の特徴や習性、世話の仕方、気持ちの表し方等を、たくさんの写真とともに教えてくれるのですが、その口調にひとくせあるのがおもしろいところ。
たとえば犬なら、見出しに「ぼくの辞書に “平等” ということばはない。(群れの中のリーダーに従う)」「かわいいうちに、芸よりしつけ」といった “いいぶん” が並びます。ときおり猫も登場し、吹き出しのセリフで「体も頭も、かたそうね」なんて茶々をいれることも。反対に猫なら、「わがまま? わたしのせいじゃないわ。(1匹で縄張りをもつ)」「わたしをしつけようなんて、本気?」といった “いいわけ” に、犬が「ずいぶんわがままなやつだなあ」とつぶやいたりします。

まん中には「こまったときの、こまらないためのイヌ・ネコノート」という共通のページがあり、病気などについて獣医さんからのアドバイス、行方不明になったときの対処法、捨て犬・捨て猫の問題についてもきちんと触れられます。「飼ってみたいなあ」と思った時に、まず家族みんなで読んでみてはいかがでしょう。
 

ピックアップ ② 『こねこのぴっち』

ハンス・フィッシャー 文・絵 石井桃子 訳 / 福音館書店 / 幼児から

りぜっとおばあさんの家には動物たちがいっぱい。その中の猫の夫婦が5匹の子猫を産みました。なかでも一番小さく、一番おとなしいのがぴっちです。きょうだいたちは、とっくみあいをしたり、毛糸にじゃれたり、猫らしく遊んでいるのに、ぴっちはそんなことしたくありません。そこで家をでていきます。
すると出あったのはおんどりとうさん。その雄々しい姿にぴっちは「ぼくもりっぱなおんどりになりたいなあ!」 2本足で歩いてみたり、「こけこっこう!」とないてみたりとまねをしますが、おんどりとうさんが別のおんどりとけんかを始めると、「こんなことなら、おんどりなんかになるのは、やめだ!」とまたでていきます。
その後もやぎ、あひると次々まねをした挙句、うさぎになろうとしたぴっちは、そのままうさぎ小屋に閉じ込められてしまいます。ところが夜中にめをさますと、小屋の金網の向こうに、きつねや、ふくろう等けものたちが目を光らせていて……。

ハンス・フィッシャーはスイスの画家で、動物たちの毛並みや動きが、躍動感ある線と美しい色彩でいきいきと描かれます。文章がやや長めの本ですが、幼い子どもたちはぴっちになりきって、驚くほどよく聞きます。

また、ぴっちのピンチをすくってくれる犬のべろも頼もしい存在。お話の最後にべろが持って登場するクリームがたっぷりのったかすてらは、子どもたちのあこがれです。
 

ピックアップ ③ 『こいぬがうまれるよ』

ジョアンナ・コール 文 ジェローム・ウェクスラー 写真 つぼい いくみ 訳 / 福音館書店 / 幼児から

「いいことおしえてあげようか? おとなりのいぬに あかちゃんがうまれるの。いっぴきわたしがもらうんだ!」

ダックスフントの子犬をもらうことになった女の子の視点で、誕生から乳離れする頃までを丹念に追った写真絵本です。白地にゆったりとモノクロの写真がレイアウトされ、子犬が産まれる瞬間や、体をつつむふくろを母犬がやぶり、ぺろぺろなめてやる様子に、子どもたちの目がくぎ付けになります。お母さんとつながっているへその緒もしっかり写っていて、素直な驚きから思わず「うわー」と声が出ることも。生まれて2週間で目があき、耳もあく。はじめていっぽ歩く。歯がでてきた! とまるでドキュメンタリーフィルムをみているような感覚で、子犬たちの成長をつぶさにみることができます。

命の尊さがまっすぐに伝わるのでしょう。「ソーセージ」と名付けたいっぴきをうちに連れて帰る女の子のよろこびが、自分のことのように感じられます。

犬(いぬ)と猫(ねこ) おすすめブックリスト

幼児から

④『ねこが いっぱい』 グレース・スカール 作 やぶき みちこ 訳 / 福音館書店
おおきい猫と、ちいさい猫、しましまに、ぽちぽち………。ページをめくるたびに様々な猫が登場し、最後は「みんないっしょににゃーお」でおわるごくシンプルな絵本。赤ちゃんから楽しみますが、その様子を見ていると、「おちびちゃん」のことばの響きに喜ぶ子や、ぽちぽちをひとつずつさわって楽しむ子など様々です。最初から最後まで通して読まなくてもよいので、お気に入りの猫をみつけてみてください。姉妹作に『いぬがいっぱい』もあります。

⑤ 『11ぴきのねこ』 馬場のぼる 作 / こぐま社
1967年に刊行されて以来、日本の子どもたちに愛されてきた「11ぴき」シリーズの1冊目。いつもおなかがぺこぺこの11匹のノラ猫たちは、山向こうの湖に怪物のように大きな魚がいると聞いて出かけることに。いかだで湖に乗り出し、島に上陸して捜索開始。するとある日「でたあっ」。とらねこたいしょうの指揮で「ニャゴー ニャゴ ニャゴ ゴロニャーン」と魚にとびかかる猫たち。対する巨大魚は「グワアーッ」と大きな口をあけて猫たちを蹴散らします。コミカルな絵にぴったりのイキのいい語りを読み手も一緒に楽しんでください。

⑥『モペットちゃんのおはなし』 ビアトリクス・ポター 作・絵 いしい ももこ 訳 / 福音館書店
戸棚のうしろにいるネズミをみつけた子猫のモペットちゃん。つかまえようとしますが逃げられ、頭を戸棚にこつん! そこでモペットちゃんは考えました。頭を小さなきれでしばり、気分が悪いふりをして……。ちょっとおまぬけなモペットちゃんが、かわいくてたまりません。

⑦『ネコのタクシー』 南部和也 作 さとうあや 絵 / 福音館書店
元ノラ猫のトムは、タクシー運転手のランスさんに飼われることに。ところがランスさんが大怪我をしてしまったため、代わりにトムがタクシーでお金を稼がなくては! ただし特製の車にエンジンはありません。走るのは駿足が自慢のトム自身(表紙の絵をみるとちゃんとトムのあしが見えます)、お客はもちろん猫です。子猫を病院に運んだり、銀行強盗を追いかけたりの大活躍。絵もたっぷり入っていて、自分で読むようになった子にもおすすめの1冊です。

⑧『こいぬのくんくん』 ディック・ブルーナ 文・絵 まつおか きょうこ 訳 / 福音館書店
くんくんは、小さな茶色の子犬。まっくろな鼻でくんくんくん……とにおいをかぐのが得意です。ある日泣いている女の人から、女の子が迷子になったと聞くと、くんくんはさがしにでかけます。かたつむり、小鳥、うさぎにたずねますが……。小さいながらたのもしい活躍をするくんくん。火事を発見する『くんくんと かじ』、子犬を産みお母さんになる『くんくんに こいぬが うまれたよ』もあります。

⑨『どろんこハリー』 ジーン・ジオン 文 マーガレット・ブロイ・グレアム 絵 わたなべしげお 訳 / 福音館書店
ハリーは黒いぶちのある白い犬。お風呂に入るのが大嫌いで、ある日、湯舟にお湯を入れる音が聞こえてくると、ブラシを裏庭にうめ、家をぬけだします。工事現場であそんだり、他の犬たちとおにごっこをしたりするうち、どんどんどんどんよごれ、とうとう白いぶちのある黒い犬に! 家に帰るとだれもハリーだと気づいてくれず……。幼い子にもわかるスリリングなお話。いたずらっぽい瞳や、しゅんとしたときの耳やしっぽのたれ具合に、愛犬のすがたが重なる人もいるのでは。

⑩ 『ニッポンの犬』 岩合光昭 著 / 平凡社
表紙を飾るのは桜と富士山を背景に凛と座る柴犬。大人向けの写真集ですが、児童室でたくさんの犬好きの子どもたちと楽しんできました。日本の犬種9種を、日本ならではの自然や暮らしの中でとらえています。ミカン畑で駆け回る紀州犬の子犬たち。小学校で子どもたちと暮らす川上犬。雪とたわむれる北海道犬も。どこか野性味の感じられる姿に、ただただ見惚れてしまいます。岩合光昭さんによる猫の写真集もおすすめです。

小学生から

⑪ 『ノラネコの研究』 伊澤雅子 文 平出 衛 絵 / 福音館書店
ネコ科動物の研究者の伊澤雅子さんが、「ナオスケ」と名付けたノラ猫の1日を、こっそり後をつけて調べた観察ノート。漫画風の絵で、1日のほとんどを日向でごろごろしたり、縄張りを確認したりする様子がコマ割りで描かれます。互いに鉢合わせないように道をゆずりあうというネコ社会のルールにも感心しますが、それを追いかける伊澤さんのバイタリティにもびっくりの1冊です。

⑫ 『地雷のない世界へ はたらく地雷探知犬』 大塚敦子 文・写真 / 講談社(品切)
犬の嗅覚は人間の1億倍。その能力をいかして働く、地雷探知犬の育成を追った写真絵本です。ボスニアの訓練センターで愛情いっぱいに育てられた子犬たちは、訓練を経てカンボジアに送り出されます。カンボジアでは、戦中に埋められた地雷のために、子どもも含めてたくさんの人々が被害にあっているのです。著者の大塚さんが4年以上かけて取材し、撮影した写真には、愛らしい子犬時代の表情や、仕事中の鋭い眼差し、ともに働くハンドラーとの信頼関係が、丁寧にとらえられています。品切れ中なので、ぜひ図書館でさがしてみてください。少し上級向けですが、戦争の背景や、現場で働く人々についても詳しく紹介する『はたらく地雷探知犬』(青い鳥文庫/講談社)も刊行されています。

 

 

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