子どもと絵本を楽しみたい! そう思って書店や図書館に足を運んでみたものの、あまりにもたくさんの絵本が並んでいて、どうやって選んだらいいのか、わからなくなってしまった経験はありませんか? この連載では、初めて絵本を手に取る方や、絵本選びに迷う方に向けて、絵本の楽しみかた・選びかたのヒントをお届けします。今回は、子どもの年齢とかかわりなく、絵本を選ぶ際に参考にできることを4つご紹介します。
乗りもの、動物、食べもの……
子どもが興味を示す対象はさまざまですが、子どもの好きなものがはっきりしている場合は、それらが登場する絵本からはじめてみましょう。
好きなものに出会えたら嬉しくて、ずっと眺めていたいと思うのは、大人も子どもも同じです。子どもはそれぞれの好きなものに誘われるようにして、絵本の世界に入っていきます。
子どもが絵本になじみ、「絵本は楽しいもの」と感じているようなら、読んであげる絵本の幅を少しずつ広げていきましょう。まだ出会っていないけれど興味をもちそうなものが出てくる絵本を読んでみたり、お出かけ先で注意を向けたものが登場する絵本を選んでみたり……。
そうして好きな絵本をひとつひとつ増やしてあげてください。その過程で絵本体験が蓄積され、いろんな絵本を楽しめるようになっていきます。
子どもと絵本の出会いにおいては、タイミングも大切な要素です。出会いのタイミングが合っていないと、どんなにすばらしい絵本であっても、子どもは楽しむことができません。
多くの絵本は、読者となる子どもの年齢や発達段階を意識して作られています。それが、絵本の裏表紙などに印刷されている「対象年齢」です。
対象となる年齢の子どものことを考え、実際に読み聞かせなども行いながら、言葉を選び、文章量と難易度のバランスを検討して作られているので、この対象年齢は絵本を選ぶ時の目安になります。
ただ、子どもの成長はひとりひとり違うため、対象年齢に縛られず、子どもがちゃんとその絵本を楽しめそうかどうかを見てあげてください。
読み手の大人が読みたい本や、子どもの頃に好きだった絵本を選ぶのも、すてきなことですが、子どもたちの「今」に寄り添っているかという視点は大事にしてください。
理解が追いつかない絵本を繰り返し読むと、「絵本なんておもしろくない」と感じさせてしまうこともあります。
絵本を選ぶ一つの目安として、「成人式を終えた絵本」というものがあります。
日本の成人年齢は20歳から18歳へ引き下げられましたが、絵本の場合は、出版されてから20年以上経っていることを意味します。
出版されてから何年経っているかを調べるのは難しくありません。本の最後のページを開いていただくと、その本に関する情報を記載した「奥付」という部分が見つかります。そこに、「初版発行日(=本が初めて世に出た日)」が記されています。初版発行日が20年以上前であれば、それだけ長い間、子どもたちに愛され、選ばれ続けてきたことになるわけです。
さらに奥付では、「刷数(=本が印刷された回数)」も確認できます。刷数が多いということは、何度も繰り返し印刷された人気のある本だということ。
成人式を迎え、刷数も多い絵本は、文学的にも芸術的にも優れているものが多く、子どもたちの心に響く何かをもっています。安心して子どもに読んでいただける絵本です。
また、長く愛されてきた絵本を子どもといっしょに楽しんでいく中で、絵本のよしあしを見分ける目を育てていくこともできます。
最後はちょっと応用編。子どもの好奇心がいろんなものに向きはじめたら、幅広いジャンルの絵本に出会わせてあげてください。
人々の生きる知恵が詰まった昔話、空想の世界を旅するファンタジー、世界の広がりを感じさせてくれる海外のお話、知る喜びを伝える科学絵本など、さまざまなジャンルの絵本が子どもたちを待っています。
選ぶときには、先ほど挙げた3つのポイント「子どもの好きなものが登場する絵本」「子どもの成長に寄り添う絵本」「成人式を終えた絵本」を参考にしてください。
例えば、5・6才の子どもに初めて科学絵本を読んであげるなら、年長児にぴったりなロングセラー『はははのはなし』(初版1972年)を手に取ってみたり、動物好きな子どもと昔話を楽しみたいときは、いろんな動物が登場するウクライナの民話『てぶくろ』を選んでみたり……。
大人が思いもしなかった絵本が子どもに大ヒット!ということもありますので、子どもの反応を楽しみながら、ぜひいろいろな絵本を一緒に楽しんでくださいね。
ほかにも、図書館や文庫、専門家の方のブックリストを見ながら絵本を選ぶのもいいですね。
1冊1冊しっかり選ぶのはやっぱり大変という方や、気づくと似通った絵本ばかり選んでしまう方、またバラエティに富んだ絵本を揃えたい方には、月刊絵本という選択肢もあります。対象年齢とジャンルによって6つのコースに分かれているため、ぴったりのものを見つけられます。
また、毎月届く絵本は新作(※)なので、すでに持っている絵本が届いてしまう心配もありません。こちらで詳しくご紹介しています。
※「こどものとも年中向き」には、一部再販の作品が含まれます。
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