絵本の舞台を訪ねて

『こんとあき』の舞台・鳥取を、“こん” と一緒にたずねたら……

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1989年の刊行以来、たくさんの子どもたちに愛されてきた絵本『こんとあき』。絵本の舞台となったのは、作者 林明子さんのご両親の故郷・鳥取。編集部・Tが、ぬいぐるみの “こん” と一緒に、『こんとあき』にゆかりのある場所をたずねました。

『こんとあき』の舞台、鳥取県をたずねて。

『こんとあき』は、「あき」という名前の女の子が、キツネのぬいぐるみ “こん” と一緒に、おばあちゃんの住む「さきゅうまち」を目指す冒険物語。刊行以来、たくさんの子どもたちに愛されてきた作品です。

さきゅうまちに向かう立派な汽車、こんが買ってくれたおいしそうな駅弁、互いのことを常に気にかけあうふたりの健気な姿……魅力的な場面をあげるときりがありませんが、絵本の中で特に印象的なのは、「さきゅうえき」に着いたふたりが、大きな砂丘にたたずむ場面ではないでしょうか。

実は、この砂丘は “鳥取砂丘” 。作者の林明子さんは、ご両親の故郷である鳥取県をモデルに「さきゅうまち」を描いたのです。

そんな鳥取県を、“こん” と一緒にたずねます。東京からなので、今回は汽車ではなく飛行機で。

飛行機に乗るのは、おそらく初めてのこん。汽車から見えるのとはまた違った景色に、ちょっと緊張気味?

羽田空港から鳥取空港(鳥取砂丘コナン空港)までは、1時間と少しの旅。汽車の扉にはさまれてぺちゃんこになってしまったこんのしっぽも、今回の旅では無事でした。

駅でお弁当を買ったあとに、汽車のドアにしっぽを挟まれてしまったこん。あとで車掌さんが包帯を巻いてくれました。

いざ、鳥取砂丘へ!

最初に向かったのは、もちろん “鳥取砂丘” 。鳥取空港からは、車やタクシーを使うと15分程度で行くことができます。

鳥取砂丘には初めて来たのですが、想像以上に大きく、見渡す限り砂が広がる景色に圧倒されました。

砂丘は、砂に足を取られるので、大人でも大変! 絵本では、犬に連れ去られたこんをあきが必死に追いかけて、砂の山をのぼっていくのですが、あの小さな体でよくぞ……と、ほろりときてしまいました。

こんが見つめる先にある、一段高くなったところが、あきがのぼった砂の山、第二砂丘列(通称「馬の背」)です。なんと、高さ47メートルもあるのだそう。あき、がんばったね……。

この日は風が強く、砂の山から見渡す日本海は荒れ模様。海に向かって「こ───ん!」と叫ぶ、あきの姿を思い出しました。

一生懸命のぼった先であきが見つけたのは、犬の足跡と、砂に埋まっているこん。なんと、砂丘を歩いていると、本当に犬の足跡が……。

こんを連れ去った犬の足跡……⁈

思わず、連れていたこんを、ぎゅっと抱きしめなおしてしまいました。

砂丘を歩いた後は、鳥取砂丘ビジターセンターへ。鳥取砂丘の特徴や成り立ちなどを知ることができるこちらの施設には、『こんとあき』の撮影スポット(※)もありました! 

※館内の展示入替に伴い、公開されていない場合があります。

ぼくも撮っていいのかな……?

■施設情報
鳥取砂丘ビジターセンター
鳥取県鳥取市福部町湯山2164-971 ※JR鳥取駅からバスで22分
https://www.sakyu-vc.com/jp/

ここでしか見られない壁画を見に、わらべ館へ。

続いて向かったのは、童謡・唱歌とおもちゃのミュージアム わらべ館。童謡の部屋とおもちゃの部屋からなる3階建ての館内には、昭和の学校教室を再現した一画や、世界中のおもちゃ約2000点が展示され、実際に遊べるスペースも。3世代で楽しめる、文化複合施設です。

そんなわらべ館にやってきたのは、同館の “いべんとほーる” の中にある、『こんとあき』の壁画を見るため! 

立体感のある陶板の壁画。実際に砂丘を見た後だったので、ふたりと一緒に砂丘に立っているような感覚になりました。

こちらの壁画は、林明子さんが描き下ろした絵をもとに、陶板で作られています。砂丘をバックに、こんとあきがこちらを向いている姿──絵本にはない場面をじっくり堪能することができる、ぜいたくな空間でした。

■施設情報
わらべ館
鳥取県鳥取市西町3丁目202 ※JR鳥取駅からバスで5分
https://warabe.or.jp/

絵本の世界に入り込むような旅

さて、『こんとあき』の舞台巡りはここでひと段落。

絵本の中では、こんがお兄ちゃんのようにふるまって、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきをリードしていく展開(だからこそ、最後にあきがこんを助け出すシーンが涙腺にきます……)ですが、大人になって実際に砂丘に行ってみると、そのあまりの広大さに、小さなこんを守ってあげたい気持ちに。

小さい子どもがこんと一緒に砂丘を訪れたら、どんなふうに感じるのでしょうか。

また来ようね、こん。

こんと一緒の鳥取旅行は、物語として楽しんでいた世界の中に実際に入り込んだかのような、不思議な体験になりました。
 

『子どもを描く 林明子の世界』 福音館書店編集部 編

『はじめてのおつかい』『こんとあき』などの作品で子どもの心の動きをすくいとり、繊細に表現してきた絵本作家・林明子。本書ではその多彩な作品を見渡しつつ、作品ごとの試行錯誤や工夫を、ラフやエスキース、宮﨑駿氏ら愛読者の声とともに紹介します。絵本以外の絵の仕事や、創作童話、漫画、エッセイも収録。「子どもに本物だと思ってもらえるように」と願い、描き続けた作家の思いにふれることのできる一冊です。


 
『こんとあき』のことを、もっと知りたい方へ
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