いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか? この連載では、気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」をうかがいます。
第 13 回は、あかちゃん絵本『ねこ ねこ ねこちゃん』を刊行した絵本作家の出久根育さんです。お住まいのチェコ共和国の空気が伝わってくる、3つの大切な時間を教えてくれました。

数年前から我が家の猫を描いています。最初は動きや形を捉えるだけで精一杯だったのに、そのうち筆の力が抜けて描くのが楽しくなりました。
猫好きで知られる画家の猪熊弦一郎の言葉を思い出します。「愛しているものをよく絵にかくんです。愛しているところに美があるからなんです。」
上手になることが目的ではなくて、愛おしい対象物を表情豊かに画面に収めることができたらいいなと思います。我が家の猫を描く時はなんだか穏やかな気持ちになれるのです。

仕事の合間、雑草とりや水やり、なにかと用事を作っては庭へでていきます。石造りのアパートの中は夏でも比較的涼しく、庭にでてお日様の光を浴びると、全身が温まってほぐれるのです。
ただしここ数年のプラハの夏は日本並みに暑くなりリラックスにもならない日もあります。日本ほど湿度が高くないことが救いではありますが。
頭上でシジュウカラやクロツグミが囀(さえず)り、穏やかな喜びとともにしばらく風に吹かれて庭の植物たちを眺めます。
今度はここにトウダイグサを植えよう、あ、この子はそろそろ剪定が必要だ。
次々に仕事が見つかるので気持ちはぐんと上を向き、私にとってはちょうど良い加減のリラックスの場なのです。

散歩は住宅街であろうと、自然の中であろうと、どこを歩いても出会いや発見があって楽しいものです。近くの修道院周辺を歩いたり、園芸屋を覗いたり、トラムに乗って中心街のカフェへ出かけたり。
プラハには素敵なカフェが多く、一人でいくこともあれば友人を誘って新しいカフェを開拓してみたりします。ひとときコーヒーを飲みながらたわいもない話をしたあと、プラハ城あたりを抜けて歩いて帰宅することも。
街並みや景色を眺め、行き交う人たちを観察して、なんとなく楽しい気分になって、さあ、また仕事だーと机に向かいます(笑)
文・写真 出久根育
愛らしい猫が登場する、あかちゃんえほん
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