「いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか?」 とっておきの場所で心地いい時間を過ごしたり、お気に入りのアイテムで気分転換したり……気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」を伺います。
第5回は、大好評の刺繍絵本『どこ どこ? ねどこ』『やぎさんのさんぽ』に続き、新刊『ぱくぱく ぱんだちゃん』を刊行したjuno(ユノ)さん。
なんとこの記事のために、とってもかわいい刺繍を制作してくださいました!

動物をかたどった雑貨が増えてゆく。
実用的なものもあれば、飾っておく以外に使い道のないものもあるけれど、実用性とは関係なく、ふとした時に目に入るところに置きたくなる。
子供の頃は家にいつも動物がいたから、その身代わりなのかもしれない。
つるりとした素材でも、なだらかな丸みが、柔らかい毛の手触りや温もりを想起させてくれ、眺めるだけでほっこり愛おしい気持ちが湧く。
安定感ある形で、生きているみたいに自立してくれるところもほっとするポイント。きっと作った人も、生み出した瞬間、ほっ と笑顔を浮かべたんじゃないかと思う。

なんだか、緊張が取れない…眠れない…そんな時は、銭湯に行く。セロトニンの分泌を促すためである。
私たちの感情や行動のおおよそは、意志の力でどうにかなるものではなく、脳内物質によって決まっている、という説を知ってから、あまり悩まなくなった。
大きな湯船は、家の小さなユニットバスとは温まり方が違う。老いも若きも湯に浸かって、「ほ〜っ」という顔。
1人の時は、「サウナ水風呂外気浴×3セット」を黙々とこなし、整って帰る。
仲の良い友達と行く時は、ぬるいお風呂と外気浴を繰り返しながら、ずーっと喋ってる。
※セロトニン:「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質で、不足すると不眠や不安を引き起こす

家にいる時は、だいたいいつも刺繍をしている。たぶん、パンダが竹を食べているのと同じくらいの時間。
刺繍をする時は、ハンモックの上で。
体重が分散するからか長時間座っていても腰痛にならないのと、仕事をしている雰囲気が出ないところが良い。
パンダがエネルギー効率の悪い竹を主食にしたことで、一日中食べていなくてはならなくなったように、私も時間効率の悪い作風が仕事になったから、一日中働かなくてはならない。
だけど、自分の思った通りに手が動いてくれて、糸が何かを描き出すことが、いまだにとても面白いのだ。仕事と遊びを同時に行なっているので、人生の効率は良いのかもしれない。
針と糸と布さえあれば、きっと一生退屈しないでいられる(お金も多少もらえる)ことが、私にほっと安心を与えてくれている。
文・刺繍 juno
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