月刊絵本「こどものとも」が、2026年、創刊70周年を迎えました。
小さい頃に読んでもらったり、入社して出会ったり、子どもに読み聞かせたり……これまでに刊行された「こどものとも」から、福音館社員が思い入れのある1冊をご紹介します。
第9回は入社33年目、童話編集部・Hの1冊。
童話編集部・H

野原に横たわる大きなたまごと、いろとりどりのタイトルに惹かれて、たしか祖母に読んでもらいました。「とりだって むかしは、そらなんか とべなくて、みんな、にわとりみたいに じめんを かけまわってばかり いたんだと」で、はじまるこの絵本をひらくと、鳥、鳥、鳥! 地球上のありとあらゆる鳥たち!

「おひさまの たまごかな?」「おつきさまの たまごかな?」天から降ってきたたまごをあたためるために、世界中から鳥たちがかけつけます。行列の最後、ペンギンがあたためようとした時、きつつきが横からつついて、たまごがぽんと割れました。うまれたのは、光輝く天使! 天使はお礼に鳥たちにとびかたを教えます。ペンギンと、あんまり遠くから来たのでまにあわなかったダチョウたちと、「へーん、いやなこった」と、あたためるのをことわったニワトリをのぞいて。

天使といっしょに鳥たちが飛びたつシーンで、気持ちがぱあっと、うれしくなるのですが、そういえば……おくれてしまった鳥たちと、ニワトリのことが気になります。だって、ニワトリはケチだったかもしれないけれど、ひどいことはしていないし、遠くから一生懸命走ってきたのにまにあわなかった鳥たちにも、飛び方をおしえてあげればいいのに。天使ってやさしいと思っていたけど、ちがうのかな。そうおもって見直すと、天使の顔もいじわるそうに見えてくるのです。

それでも、たくさんの鳥たちにあいたくて、なんどもなんども読んでもらったのでした。そして、大人になって、「こどものとも」を思い出すとき、『どうぶつたちのおかいもの』も『くった のんだ わらった』も大好きなのに、ひときわあざやかによみがえるのは、この本なのです。読んでもらいながら、たくさんのことを考えたからかなあと思います。そういえば、昔話で、オオカミやキツネが悪者みたいに描かれているとき、ついついその味方をしてしまったりするのも、この絵本が、いろいろな角度から世界を見るということのタネをまいてくれたせいかもしれません。ちなみに登場した鳥たちの名前は、表紙周りに一覧になっているのですが、見返したところ、なんと634種でした!

『てんからふってきた たまごのはなし』
チャペック 作 三好 碩也 文と画
昔、鳥は空を飛べませんでした。ある日、天からとほうもなくでっかい卵がぴかぴか光りながら降ってきたので、びっくりしてかけつけた鳥たちは、何の卵か確かめるために、卵を温めることにしました。世界中の鳥たちがかわるがわる温めると、生まれてきたのは、天使さまでした。天使はお礼に……。場面場面に世界の鳥を地域や種類毎に描き込み、その数なんと634種。
*「こどものとも」1962年12月号
* 現在は品切れ
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