こどもに聞かせる 一日一話

『ピーナッツ山にのぼる』乾栄里子 文/西村敏雄 絵 #読み聞かせ

子育て |
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2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に、「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を、一挙にまとめて掲載するものです。

その「一日一話」を、「とものま」で再開します。
季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けしていきます。

ピーナッツ山にのぼる

乾栄里子 文
西村敏雄 絵

ピーナッツが山のちかくを歩いていると、ころころころ~と、小さな雪だるまの赤ちゃんがころがってきました。
「わっ、赤ちゃんだ」
ピーナッツはびっくりしてあちこち見ましたがだれもいません。
「ママー」
「ママじゃないよ。ピーナッツだよ。
どうしよう? 山のほうからきたから行ってみようか」


ピーナッツは赤ちゃんをだっこして山にのぼってみましたが、だれもいません。
「しょうがない。もうちょっとのぼってみよう。よいしょ、よいしょ」
ずいぶんのぼりましたが、やっぱりだれもいません。そのうえ山には雪がつもっています。ピーナッツが雪の中をふうふういいながらいっしょうけんめい歩いていると、赤ちゃんが泣き出しました。
「え~ん、え~ん」
「よしよし、ゆ~らゆ~ら」
やさしくゆらしても泣きやみません。
「うえーん、うえーん」
「泣かないで、ぴろぴろ~ばあ」
おもしろい顔をしても泣きやみません。ピーナッツはこまってしまいました。
「寒くて足もいたくて、ぼくが泣きたいよ~」
そのとき、冷たい風がビューッと吹きました。ピーナッツは寒くてぶるぶるふるえました。すると体の中の豆がチャッポコ、チャッポコと音をたてました。風がビュー、ピーナッツがぶるぶる、豆がチャッポコ、チャッポコ。ビューぶるぶるチャッポコチャッポコ。


「えへへ、おもしろいぞ」
ピーナッツは音にあわせて歌いました。
♪パーのナッツはパーナッツ
♪ピーのナッツはピーナッツ、へいっ!
すると、赤ちゃんがぴたっと泣きやみました。
「あれ、ぼくの歌すき?」
ピーナッツはうれしくなって何度も歌いました。ピーナッツが「へいっ!」というたびに赤ちゃんが笑います。 
歌いながらがんばってのぼっていくと、とうとう雪だるまの国につきました。赤ちゃんを探していたパパとママはとってもとっても喜んで、特製アイスクリームをごちそうしてくれました。ピーナッツが「あまくておいしいなあ、でも寒いなあ」と思いながら食べていると、かき氷、雪まんじゅう、冷やしポテト、冷やしカレー、冷やしたこ焼きと、どんどん冷たい料理が出てきます。


「ありがとう。でもぼく、寒くてもうだめです。帰ります」
ピーナッツがそういって外へ出ると、風がビューッと吹きました。ピーナッツがぶるぶるふるえると、豆がチャッポコ、チャッポコ。ビューぶるぶるチャッポコチャッポコ。すると、赤ちゃんがかわいい声で歌いました。
♪パンパン、パーンツ
♪ピンピン、ピーナツ、へいへいへい!
「ぼくの歌だ。うれしいなあ。また会いにくるね」
「ピーナッツさん、ほんとうにどうもありがとう」
「お送りしますよ。さあ、のって」
大きな雪だるまパパは頭の上にひょいっとピーナッツをのせると、高い高い山の上からスキーでしゅうううう~っとすべりおりて、あっという間に山のふもとまでつれてきてくれました。
家に帰ったピーナッツは、あったかいお風呂にゆっくり入って、ぐっすり眠りました。

 (おしまい)

 

 
子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。
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