来月は これ読もう!

2月は これ読もう! ≪東京子ども図書館の職員がおすすめする2月の絵本&読み物11選≫

絵本 |
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季節の本を楽しみたい! そう思っていても、あわただしく過ごしていると、あっという間に、もう次の季節……。それなら少し余裕をもって、準備を始めてみませんか?

この連載では、子どもたちに本を手渡しつづけている東京子ども図書館の皆さんに、「来月のおすすめの本」をご紹介いただきます。2月のおすすめを教えてくださるのは、林直子さん。さあ、2月はこれ読もう!

2月は、これ読もう!

冬になってずいぶん経ちました。2月もまだ寒い日が続くでしょう。雪は降るし、風邪もはやって、もう冬には飽きた! なんて思うことも。

でも、「鬼は~外! 福は~内!」の節分を過ぎれば、暦の上では「春」です。少しずつ、次の季節、春の気配を感じられるようになるかもしれません。

雪や寒さもまだまだたのしみながら、新しい季節の兆しを探してみましょう。

ピックアップ ①
『はなを くんくん』

ルース・クラウス 文 マーク・シーモント 絵 きじまはじめ 訳 / 福音館書店 / 幼児から

森の中は真っ白に雪がつもっています。その雪の下で、動物たちは眠っています。のねずみも、くまも、ちいさなかたつむりも……。

ところがとつぜん、眠っていた動物たちが目をさまして、みんな、はなをくんくん。そのうちに、みんなかけだしました。どこへいくの? まだ降りしきる雪の中に集まった動物たちの真ん中には、一輪の黄色いお花が咲いていました!

柔らかな白黒の絵が続き、最後に現れる花の色にハッとさせられます。動物たちのうれしそうな表情も印象的で、読んでいる私たちも思わず笑顔に。心地よいことばのリズムにのせて、絵がいきいきと動きだします。春を見つけた喜びにあふれるアメリカの絵本です。

ピックアップ ②
『くしゃみ くしゃみ 天のめぐみ』

松岡享子 作 寺島龍一 画 / 福音館書店 / 幼児から

むかしある小さな村に、ものすごいくしゃみをする「くしゃみのおっかあ」が住んでいて、その子どもは「はくしょん」と呼ばれていました。はくしょんは若者に育つと、運試しのために遠い村へ旅立ち、くしゃみのおかげで長者の娘を助けることになり……。表題作「くしゃみ くしゃみ 天のめぐみ」には、表紙の絵のとおり、花盛りの椿の場面が描かれています。

また、大きなおならに悩むおじいさんが、ある日わなにかかったふしぎな生き物 “ズーイグルッペ” に願いをかなえてもらう「梅の木村のおならじいさん」は、梅の咲き始める季節にもぴったり。

この本に収められている5つのお話は、いずれも昔話風の創作物語で、くしゃみやおならの他に、しゃっくり、いびき、あくびが出てきます。着想の奇抜さや、底抜けに明るくてユーモラスな内容が子どもたちを惹きつけ、幅広い年齢の子に人気の1冊。読んでやれば4・5歳からでもよくわかり、挿絵がたくさん入っていて、読みやすいつくりです。

ピックアップ ③
『鬼が出た』

大西廣 文 梶山俊夫 絵 / 福音館書店 / 小学生から

節分では豆まきをして鬼を追いはらいます。
ところが鬼ごっことなると、鬼から逃げながらも、1回ぐらいは自分も鬼になりたいな、と思ったりしませんか。

鬼って何でしょう? 恐ろしい怪物? そうかもしれないけれど、人間の想像から生まれたものにはちがいありません。昔の絵には、いろいろな鬼が出てきます。地獄の鬼や、昔話に出てくる鬼……。でも怖がらなくて大丈夫。鬼をやっつける英雄たちがいるし、それに、鬼は神様でもあると言えるのですよ。

絵巻や仏教美術に表現されたさまざまな鬼の姿をあれこれ紹介し、鬼について考える本です。美術史の研究者による解説は難しいところもありますが、探し絵や謎解きになっているページも。鬼という存在の奥深さと魅力が伝わります。

2月のおすすめブックリスト

≪幼児から≫

④『ふゆめがっしょうだん』
冨成忠夫、茂木透 写真 長新太 文 / 福音館書店
「みんなは/みんなは/きのめだよ」
葉が落ちたあとの枝に出る小さな冬芽に近づいて、よくよく見てみると……帽子をかぶった子どもや、サルやウサギやコアラの顔に見えてきませんか? 
いろいろな表情を連想させる冬芽をアップで捉えた写真に、ユーモラスでリズムのよいことばを添えた、ユニークな写真絵本です。冬芽の「顔」をゆっくり見てたのしんでみてください。外で冬芽を見つけるたびに、覗き込みたくなりますよ。

⑤『あたしも びょうきに なりたいな!』
フランツ・ブランデンベルク 作 アリキ・ブランデンベルク 絵 ふくもとゆみこ 訳 / 偕成社
子猫のきょうだい、エドワードとエリザベスが主人公。ある日エドワードが病気になりました。おかあさんがベッドに食事を運び、おとうさんが冷たいタオルを当て、おばあちゃんが本を読むなど、みんながエドワードをちやほやします。エリザベスはうらやましくてたまりません。私も病気になりたいなと願うと、何日かたって……。
子どもの気持ちをそっくり代弁したようなストーリーで、風邪のはやる季節にうってつけ。

⑥『はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー』
バージニア・リー・バートン 作 石井桃子 訳 / 福音館書店

真っ赤な除雪車けいてぃーは、じぇおぽりすという町の道路管理部で働いています。ある日、町を埋め尽くすほどの大雪になり、けいてぃーの出番が来ました! 出動したけいてぃーは、次々に通りの雪をかきのけていきます。けいてぃーが通ると、白一色だった画面に次々建物が現れ、車が走り、町がよみがえっていきます。
白地に赤と水色がきいた絵で、はたらく車の乗り物絵本としてもたのしめます。

⑦『ふきまんぶく』
田島征三 文・絵 / 偕成社
主人公のふきちゃんは、ほっぺたがふっくらしているので、みんなに「ふきまんぶく(ふきのまんじゅう=ふきのとうのこと)」と呼ばれています。ある夏の夜、ふきちゃんはひとり山に行き、蕗たちと遊び、一晩を過ごします。それから、秋になり、冬が過ぎて、春が来ると、山にぽっと暖かそうな場所が見えます。あれは去年の夏に蕗たちと遊んだところかも。ふきちゃんがまた登っていくとそこには……。
油絵の具を厚く重ねた、個性的で力強い絵が画面いっぱいに広がります。その力強さやお話のふしぎさが、大地の命をじかに感じさせるのでしょう。繰り返したのしむ子も少なくありません。

⑧『まめたろう』愛蔵版おはなしのろうそく10
東京子ども図書館 編 / 東京子ども図書館
「愛蔵版おはなしのろうそく」シリーズは、幼児でも、読んでもらって耳からたのしむことのできるお話が10編ほど入っているアンソロジーです。挿絵もたっぷり。
節分にちなんで、豆のおはなしから。イランの昔話「まめたろう」の主人公は、お鍋からとび出した豆から生まれた小さな男の子。靴屋のおじいさんの代わりに王さまのところへ行く途中、火、川、キツネに出会います。まめたろうはみんなを自分の心臓のなかに入れ、ともに王さまのもとへ向かいます。
また、アイヌの昔話「クナウとひばり」は、福寿草の花がなぜ早春にこがね色の花を開くのか、ひばりはなぜ空の高いところでさえずるのか、という “なぜなぜ話” で、やはりこの季節にぴったりです。

⑨『根っこのこどもたち目をさます』
ジビレ・フォン・オルファース 絵 ヘレン・ディーン・フィッシュ 文 石井桃子 訳・編 / 童話館出版
春がゆっくり近づいてくると、地面の下で根っこの子どもたちが、土のお母さんに起こされます。女の子たちは春の花の色の服をぬいます。男の子たちは眠っているカブトムシやテントウムシを洗って、春の色をぬってやります。そうして用意ができたら、虫たちの後について、花を手にして坂を上り、地面に出ていくのです! 
花の子どもたちが虫たちと過ごす春の景色が色あざやかに描かれ、春の来る喜びが伝わります。もとは詩だった文章を物語にふくらませ、読みやすい訳をつけた絵本です。


≪小学生から≫

⑩『ウルスリのすず』
ゼリーナ・ヘンツ 文 アロイス・カリジェ 絵 大塚勇三 訳 / 岩波書店
高い山の奥の村に住んでいる、山の男の子ウルスリ。明日は子どもたちが鈴をもって村中を回る鈴行列です。ところが、ウルスリにあたったのは一番小さい鈴でした。すっかりしょげたウルスリは、「夏の山小屋に大きい鈴がある!」と思い出し、雪道をひとりで山小屋に向かいます。でも、くたびれてそこで寝込んでしまって……。
スイスの代表的絵本作家カリジェの大判の絵で、山の暮らしが描きこまれています。ウルスリに寄り添って読み進めていくと、ひとりで冒険する満足感を味わえます。

⑪『クマのプーさん プー横丁にたった家』
A・A・ミルン 作 石井桃子 訳 / 岩波書店
小さな男の子クリストファー・ロビンを中心に、ぬいぐるみのおもちゃたちが繰り広げるお話集です。
主人公は気のよいクマのプー。そのほか、プーの親友のコブタ、利口なウサギ、学者風のフクロ、ぐちっぽい年寄りロバのイーヨーなどが登場します。
雪のなか、謎の足跡をたどる「プーとコブタが、狩りに出て、もうすこしでモモンガーをつかまえるお話」や、雪の降りしきるなか、やはりプーとコブタが枝をふって「雪やこんこん」と歌う「プー横丁にイーヨーの家がたつお話」などはこの季節に合うでしょう。
英国児童文学の代表作といわれるこの物語は、作者ミルンが自分の幼い息子のために書いたもの。シェパードの挿絵は、ほかの絵は考えられないほどこの物語にぴったりです。
ハードカバーや、分冊になっている文庫版は字も小さいので、子どもが自分で読めるようになるまで待つより、1年生くらいからどんどん読んでやりたいものです。大真面目な彼らのやり取りが何ともおかしく、この世界に入り込んでしまいます。

 
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