2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に、「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を、一挙にまとめて掲載するものです。
その「一日一話」を「とものま」で再開します。
季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けしていきます。
市川宣子 作
花山かずみ 絵
あっくんが保育園にでかけたあとのことです。こたつの上には、あっくんがかいたパパの絵が、のったままでした。
そこへ、ねこのみーが、やってきました。
「おい、ねこ。だいじな絵をふむなよ」
こたつが注意すると、みーは、ふん、と、はなをならしました。
「なんだい、えらそうに。こたつなんて、すわってばっかりのくせにさ」
こたつは、中がぽっと赤くなったようでしたが、だまっていました。
みーは調子にのって、
「だいたいその足、なんのためにあるのさ。ぼくとおなじ4本もあるのに」
と、自分の足をあげてみせました。するとどうでしょう、こたつは、ひょひょい。じゅんばんに足をあげ、どん、どん、と、ふみならしてみせたのです。
「わわわ。な、なんだよ。そんなこと、あっくんの前ではしたことないだろ」
みーはびっくり、窓をあけてにげだしました。
「もちろん、あっくんにはないしょだぞ」
こたつは窓をこえて、のしのし、おいかけてきました。

外は北風です。ぴゅうう、あっというまにパパの絵はもっていかれてしまいました。
「あ、しまった」
「まてまて」
パパの絵は空高くひらひらとんでいって……ぱく! 電線のカラスがくわえました。
「かえせよ、あっくんがパパにあげる絵だぞ」
みーがいうと、カラスは絵をくわえたまま、もごもごいいかえしました。
「ただではやだね。かわりに、なにくれる?」
すると、こたつがちらり、ふとんをめくってみせました。
「ここで、ぽかぽかあたたまらせてやろう」
「ふうん、そんなら、まあいい、かあ!」
さむがりカラスがくちばしをあけたとたん、ぴゅうう、北風がまた絵を横どりしていきました。
「あ、しまった」
「まてまて」
「かあかあ」
3人でおいかけていくと……ぱし! 林のかしの木が、枝をのばしてつかまえてくれました。
「すてきな絵。わたしのかざりにしたいな」
かしの木は、枝のさきで絵をひらひらさせました。
「だめだめ、あっくんがパパにあげる絵なんです」
「かわりに、ここであたたまらせてあげるから」
みーが、こたつのふとんをめくってみせると、
「あははは。わたしには小さすぎるなあ」
かしの木は大笑い。でも、
「それなら、わたしのこどもたちを入れてあげてよ」
ぱらぱら、どんぐりをおとしてきたのです。
パパの絵は、りすがもっておりてきてくれました。北風はくやしがって、ぴいぷう、ないたけれど、こたつはもう、しっかり絵をおなかにかくして、わたしませんでした。

ころころどんぐりたちと、からすもりすも、小鳥やたぬきやきつねまでやってきて、林のみんなで、こたつは満員になりました。
♪ ぽかぽか こたつくん あったかい
みんなで こたつくん さいこうさ
みーとこたつは、もううれしくって楽しくって。
遊びすぎて、帰りは大あわてだったんですって。
その日の夜、こたつにどんぐりが1こ入っていたのは、あれはきっと……ね。
(おしまい)

子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFファイルをダウンロードし、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。
こどもに聞かせる 一日一話
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