「いそがしい日々のなかで、ほっと一息つきたいとき、どうしていますか?」 とっておきの場所で心地いい時間を過ごしたり、お気に入りのアイテムで気分転換したり……。気になるあの人に「ほっとするとき ほっとするもの」をうかがいます。
第10回は、この4月に人気シリーズ “やまんばのむすめ まゆ” の新作『まゆとてんぐ』(こどものとも2026年4月号)を刊行した児童文学作家の富安陽子さん。時折入る関西風の「つっこみ」が楽しい、3つの「ほっとするとき」エピソードをどうぞ。

家の玄関前に枝垂(しだ)れ梅の木があって、毎年まだ寒い頃から花がほころび始めます。北風の中、ほろっと一輪目が咲くと、「あ、もうすぐ春だな」と嬉しくなります。やがて花が終わり緑の葉が繁り出すと小鳥達がやってきて梅の木は賑やかに。鶯(うぐいす)もよく来ます。どうやら同じ鶯でも囀(さえず)りに上手下手があるようで、何年か前にやってきた一羽の鶯は何故か「ホー、ホケキョのケ」と鳴きました。何度鳴いても「ホー、ホケキョのケ」。その度に私は家の中で「一言多い!」とつっこんでいましたが、結局上達しないまま、その年の春が終わりました。

まだ子どもたちが幼かった頃、我家に初めての犬を迎えました。オスの黒柴で、子どもらがシロと名付けました。「どうして黒いのにシロ?」と聞いたら、いろいろな名前で呼んでみたら、シロの時に振り向いたのだと。シロが気に入ったみたいだというので、そういうことになりました。今いるボーダーコリーの福すけはシロから数えて三代目の愛犬。福すけの上にずうずうしく乗っかっているのはドイツ生まれのパペット人形のライデンです。いつか犬の福すけと狐のライデンの物語を書こうと思っています。

毎週1回、片道1時間半ほどドライブして夫と二人温泉に出かけます。高速は使わず、猪名(いな)川の川沿いから山間の集落を抜けて続く下道を走るのですが、この道が四季折々に移ろう表情を見せてくれて気に入っています。春は誰もいない水路沿いの土手に満開の桜が咲き、やがて田植えが始まり、山々が深い緑に包まれ、秋には金色の稲田と雑木林の紅葉が……。毎週行くので温泉仲間もできて、女湯はいつも賑やかです。ある人が言っていました。「ほんま、お湯の中だけの裸の付き合いやな。外に出て服着て化粧したら、もう誰かわからへん」……確かに!
文・絵・写真 富安陽子
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