2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を一挙にまとめて掲載するものです。その「一日一話」を、2025年12月から「とものま」で再開しました。季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けします。
葦原かも 文 うえのよう 絵
りなちゃんは、こどもべやで、えほんをよみながら、ねむってしまいました。
ちいさなぞうがでてくる、おきにいりのえほんです。
「りなちゃん、ねちゃった」
えほんが、こえをだしました。そして、ひらいたまま、ふわっとうかびあがったのです。
「わたし、ちょっとあそびにいってくる」
といったら、まどが、ひくいこえで
「いってらっしゃい」
といって、がらりとあいてくれました。
「ありがとう」
えほんは、ぱたぱたとはばたいて、だんちの5かいから、そとにとんでいきました。

さわやかなかぜにのって、ふわり、ぱたぱた。なんてきもちがいいのでしょう。
「えほんだって、たまにはそとにでなくっちゃ。いつもいえのなかじゃ、つまんない」
ベランダのせんたくものが、てをふっています。
えほんはぐんぐんとんで、こうえんにやってきました。
「グルッポッポー、ねえねえ、えほんさん」
うしろからこえをかけてきたのは、キジバトでした。
「こんにちは」
えほんがあいさつすると、キジバトは
「ちょっとだけ、おじかんいただけないかしら。うちの子たちに、えほんをよんであげたいの」
といいました。
「ええ、よろこんで」
えほんは、うれしくなって、キジバトについていきました。
大きなイチョウの木の上に、キジバトのすがありました。ちかづくと、2わのひなたちが、ぴいぴいとないて、くびをのばしました。
「わたし、ちょっとたべものをさがしてくるので、えほんさん、あの……じぶんでよんでくださる? わたし、キジバトなので、もじはよまないものですから」
「まかせてちょうだい」
えほんは、じぶんにかいてあるおはなしを、ちゃんとおぼえていました。りなちゃんのおかあさんが、なんどもよんであげていたからです。
「ちいさい、ぞうがいました」
ページをめくりながら、よみはじめると、2わのひなたちは、なくのをやめて、じっときいていました。おもしろいばめんでは、ぴゃあぴゃあとわらい、すからおちそうになるくらいでした。

えほんが3かいめを、よみはじめたとき、「グルッポッポー」
と、こえがしました。キジバトのおかあさんが、ようやくかえってきたのです。
「ごめんなさい、すっかりおそくなっちゃって。子どもたちのわらいごえが、きこえてきたわ。ありがとうね」
キジバトは、おれいにオシロイバナを1りん、えほんにはさんでくれました。きれいなこいピンクで、とてもいいかおりがします。
「りなちゃんに、みせてあげなくちゃ」
えほんは、ふわっとうきあがり、ぱたぱたとんで、かえっていきました。
「おかえり」
と、まどが、ひくいこえでいいました。
りなちゃんはまだ、ねむっています。
えほんは、オシロイバナをはさんだまま、なにもなかったように、ぱたん、と、ページをとじました。
(おしまい)
◆子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。

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