「たくさんのふしぎ」は、自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、数学・哲学まで、世界のあらゆる “ふしぎ” をお届けしている、小学生に向けた月刊誌です。
2026年11月号で通巻500号(!)を迎えることを記念し、「たくさんのふしぎ」の著者の方々に心をつかまれた1冊を紹介していただきます。

わたしが好きなのは、『広場に集まる』です。
まず、タイトルがいいなあと思いました。広い場所があれば、人やものが自然と集まってくるということに改めて気づかされ、はっとしました。公園も広場ではないかと思いましたが、少し違うようです。広場には木も遊具もない。何もないからこそ、使い方は多種多様で何でもできる。その自由さを思うとワクワクします。
表紙に写っているインドネシア・ニアス島の広場では、洗濯物が広がっているすぐ横を、少年が自転車で走っています。これ以上に多目的な使い方があるでしょうか。日本で暮らしているわたしには思いつかない光景で、面白いなあと思いました。
本の中には、世界12か所の広場が登場します。最初に紹介されているモロッコの広場は、わたしも訪れたことがありました。見開きいっぱいの全景写真を見た途端、旅行したときの空気がむわっと蘇(よみがえ)ってきました。わたしの中で強烈な思い出になっている、「ハエを手で払いながら屋台でカタツムリを食べたこと」。その屋台の写真も載っていました。

小松さんの写真は、格好つけていません。その場所の空気や、人々の暮らしがすっと感じられます。わたしがモロッコ旅行を思い出したように、外からやってきた人の目線もあって、その場に立って眺めているような感覚を与えてくれる写真だと思います。情報量もたっぷりで、自分の目で見たい気持ちを満足させてくれます。
最近は写真の技術が向上し、写真ではすばらしく見えたのに実際に行ってみると「あれ、なんだか違う」と感じることも少なくありません。だから、写真を見るときに「これは本当なのだろうか」と疑いながら見てしまう癖がついている気がします。そんな中で、小松さんの写真は素直な気持ちで見ることができるのがうれしいです。
最後に載っている、ヒジャブを着た女性たちが広場でピクニックをしている写真も、とても好きでした。巻末の「ふしぎ新聞」に、東京の楽しい広場も探していると書かれていたので自分でも考えてみましたが、残念ながらぱっと思いつきませんでした。そのかわりに思い浮かんだのが、お花見です。桜が咲くと、何でもない場所に人が集まり、みんな楽しそうにしています。東京が目指す広場とは、ああいう精神なのかな。そんなことも考えました。


たくさんのふしぎ2025年5月号
『広場に集まる』小松 義夫 文・写真
世界の多くの国では、町の一番中心に、広場があります。屋台が集まったり、お祭りが開かれたり、市場がたったり、広場には楽しいことや人々の笑顔がいっぱい! あちらこちらに小さな銅像がかくれている広場や、洗濯物がしかれた広場、春になると消えてしまう広場など、その土地の文化と人々の暮らしを、美しい写真で伝えます。

『かっこいいピンクをさがしに』
なかむら るみ 文・絵
ピンクは、現代の日本では “かわいい色” “女の子の色” といわれるけれど、それって本当? ひとたび歴史や世界に目を向けると、古今東西、多様多彩なピンクがあることに気づかされます。建築、植物染色、口承文芸、化学、服飾、美術、写真、色彩論……様々な分野の方に「ピンク」をテーマに話を聞くルポルタージュ。
来月は これ読もう!
絵本のとびらを開いたら
えほんとわたし
えほんとわたし
こどもに聞かせる 一日一話
有賀さんの スープと、やさいと。
あの人の ほっとするとき ほっとするもの
親子でたのしい! えほんやさんぽ
こどものこころの保健室
手から手へ 松居直の社内講義録
有賀さんの スープと、やさいと。
母の気も知らぬきみ
こどものとも70周年
来月は これ読もう!
こどもに聞かせる 一日一話