2025年3月に休刊となった雑誌「母の友」に、「こどもに聞かせる 一日一話」という人気企画がありました。子どもにさっと読んであげられる短いお話を、一挙にまとめて掲載するものです。
その「一日一話」を、「とものま」で再開します。
季節ごとに7話ずつ、とびっきりのお話をお届けしていきます。
とみながまい 文
アヤ井アキコ 絵
もみの木やまは、雪でまっしろです。
くまくんは、おうちでぐっすりねむっていました。
トントントン トントントン
「こんな雪の中、いったいだれだろう?」
くまくんは、眠い目をこすりながら戸をあけました。
「くまくん くまくん おこしてごめん」
それは、一足の長ぐつでした。
左の長ぐつが、いいました。
「きみのたすけがいるんだ」
右の長ぐつが、いいました。
「ぼくをはいて、西の森にむかって」

くまくんが、長ぐつにあしを⼊れると
「思ったとおりだ。ぴったり!!」
長ぐつたちは、嬉しそうにいいました。
「あたたかい長ぐつだな。さあ、いこう」
くまくんは西の森へむかいました。
くるみが丘に出ると、
スルスルシュルン
左の手ぶくろが、雪の上をすべりおりてきました。
「くまくん、ぼくを手にはめて」
「まって、まって、わたしも 手にはめて」
スルスルシュルン
右の⼿ぶくろも、すべりおりてきました。
くまくんが、手ぶくろをはめると
「思ったとおりだ。ぴったり!!」
手ぶくろたちは、嬉しそうにいいました。
「あたたかい手ぶくろだな。さあ、いこう」
くまくんが、つきみ池のほとりまで来ると、
パタパタパタ パタパタパタ
赤いズボンが、空をとんできました。
ズボンは、くまくんの前におりたつと言いました。
「くまくん、ぼくをはいて」
くまくんがズボンをはくと
「思ったとおりだ。ぴったり!!」
ズボンは、嬉しそうにいいました。
「あたたかいズボンだな。さあ、いこう」
西の森につきました。すると、
「くまくん とまって」
と声がしました。くまくんがたちどまると
ヒューーン ストン!
もみの木から赤いぼうしがとびおりて、あたまにかぶさりました。
「思ったとおりだ。ぴったり!!」
ぼうしは、嬉しそうにいいました。
「あたたかいぼうしだな。さあ、いこう」
「こっち こっち」
ぼうしの白いポンポンが、くまくんをひっぱっていきました。
しばらく行くと、
「おーい、こっちだ!」
⾒ると、えんとつのある家の前で、赤いうわぎが手をあげて呼んでいました。
「くまくん、ぼくをきて」
くまくんが、赤いうわぎを着ると……
ギギ ギギギー
家の扉がひらきました。
「思ったとおりだ! 長ぐつも、手ぶくろも、ズボンも、ぼうしも、うわぎも、くまくんにぴったりじゃないか」
それは、白いヒゲのおじいさんでした。
おじいさんは、足をケガしてつえをついていました。

「私のなまえは、サンタクロース。今夜はクリスマスだというのに、歩けないんだ。くまくん、わたしのかわりに、子どもたちにプレゼントをくばってくれないかな」
くまくんは、びっくりしました。
「そんなたいせつな仕事、ぼくにできるかな……」
「きみは、ぐっすりねむっていたのにここまできてくれた。
サンタクロースの仕事は、しんせつなくまくんにぴったりさ」
おじいさんは、そういうとはさみを出して
「さて、もうひとつ」
チョキ チョキ チョキン
じぶんのヒゲをきって、くまくんのかおにつけました。
「ぴったりだ! きみは、りっぱなサンタクロースだよ」
リンリンリン リンリンリン
くまくんのサンタクロースが、子どもたちのところへ出発しました。
(おしまい)

子どもと一緒に挿絵を見ながらお楽しみになる方は、こちらからPDFのファイルをダウンロードの上、出力してお楽しみください。 ※個人利用に限ります。
こどもに聞かせる 一日一話
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