季節の本を楽しみたい! そう思っていても、あわただしく過ごしていると、あっという間に、もう次の季節……。それなら少し余裕をもって、準備を始めてみませんか?
この連載では、子どもたちに本を手渡しつづけている東京子ども図書館の皆さんに「来月のおすすめの本」をご紹介いただきます。4月のおすすめを教えてくださるのは、護得久えみ子さん。さあ、4月はこれ読もう!
さあ、4月! 子どもたちは、1つ上の学年になったり、初めての園や学校にドキドキしたり。いろいろな花が咲き、虫や動物たちも動き出す季節ですね。ワクワクもいっぱいですが、興奮しすぎてくたびれたときは、ゆっくり、絵本を声に出して読むと、おとなも子どもも一息つけるのでは?
そんな4月におすすめしたい本を紹介します。
マリー・ホール・エッツ 文・絵 よだ じゅんいち 訳 / 福音館書店 / 幼児から

朝つゆが光る原っぱで、「わたし」はバッタに「あそびましょ」と声をかけて、つかまえようとしますが、逃げられてしまいました。かえるや、かめや、りすにも。だれも遊んでくれないので、「わたし」が池のそばの石にこしかけていると、みんながだんだん近づいてきて……。
息をこらえるように、じっと待っていた女の子が、とうとうみんなに遊んでもらえたときの、うれしそうな笑顔! とても静かな絵本ですが、読むたびに、じわじわと喜びがこみあげてくる1冊です。
ドロシー・マリノ 作 まさき るりこ 訳 / ペンギン社 / 幼児から

こぐまのくんちゃんは、今日から1年生。おかあさんに連れられて、森の動物たちに「ぼく、きょうからがっこうなんだ」とふれまわりながら学校へ。でも、学校につくとおかあさんは帰ってしまいます。授業が始まり、だんだん不安になってきたくんちゃんは、とうとう教室を脱走し……。
「もうすぐ学校!」とはりきる新1年生は、とくにくんちゃんの気持ちに共感するようで、真剣に聞き入ります。
J・コールドリィ 作 ジョージ・バーナード 写真 舟木秋子 訳 / 評論社 / 幼児から

イチゴの育つ様子を見せる、写真絵本です。春になると、イチゴの株は新しい葉をだし、株がだんだんと大きくなります。やがて、つぼみができて、5枚の花びらをもつ花が咲きました。花に寄ってきた虫のからだについた花粉が、別の花につくと、花のまんなかにイチゴの実ができて……。
くっきりした写真で細かいところまでよく見えるので、児童室で読むと、子どもたちは興味しんしんで眺めています。
≪幼児から≫
④『うさぎ小学校』
アルベルト・ジクストゥス 文 フリッツ・コッホ=ゴータ 絵 はたさわ ゆうこ 訳 / 徳間書店
うさぎのハンスとグレートヒェンは今日から学校。ランドセルを背負って出かけます。モミの木の下のベンチで、1時間目は植物、2時間目は動物のお勉強。休み時間は鬼ごっこやおしゃべり、叱られるいたずらっこも……。1924年にドイツで刊行された絵本ですが、古風なタッチで描かれる子ウサギたちに親しみを感じるようで、児童室でもよく借りられています。

⑤『すずめのおくりもの』
安房直子 作 菊池恭子 絵 / 講談社 ※品切れ
小さなお豆腐屋のおじさんは定休日の朝、お客さんの声で目を覚ましました。戸を開けると、戸口にすずめがずらり。話を聞くと、すずめ小学校の新入生25羽のために、小さなお豆腐を一丁作ってほしいというのです。作ってやると、こんどはそれを油揚げ13枚に……。さて、その油揚げですずめたちが作ったものは? くっきりした愛らしい絵と、大きな文字の本作りで、自分で本を読みはじめた子にもすすめやすい1冊です。

⑥『なきむしようちえん』
長崎源之助 作 西村繁男 絵 / 童心社
入園式の日、みゆきちゃんは一人だけ大泣き。園の生活がはじまってからも、毎日泣いています。でも、ちょっとしたきっかけでだんだん幼稚園に慣れていき……。お泊まり会に芋ほり、そりあそび。四季折々の幼稚園の様子とともに、たのもしく成長していくみゆきちゃんの姿が描かれます。

⑦『あいうえおの本』
安野光雅 作 / 福音館書店
絵本の左側のページには、白木を組み合わせて作った立体的な「あ」の文字。右側のページには、美しい水彩で、細密に描かれた「あんぱん」と「あり」の絵。両ページのふち飾りには「あしか」や「あひる」「あさがお」の絵が隠されていて……。隠し絵を探そうと夢中になる子が多く、幅広い年齢の子が楽しめます。かつて、児童室には、この本が好きすぎて「買ってもらえるまで、借り続ける!」と豪語した男の子がいました。

⑧ まど・みちお詩集『ぞうさん』
まど みちお 作 / 童話屋
「ぞうさん/ぞうさん/おはなが ながいのね……」という童謡でおなじみの詩からはじまる詩集です。なかでも春にすすめたいのは、「くまさん」という一編。「はるが きて/めが さめて/くまさん ぼんやり かんがえた……」声に出して読むと、春のあたたかな日差しの中にいるくまさんの姿がうかんできます。全部で62編の詩が入っているので、お気に入りを探してみてください。

⑨『ぼく、だんごむし』
得田之久 文 たかはし きよし 絵 / 福音館書店
ぼくは、だんごむし。植木鉢の下がぼくのすみか。枯れ葉や死んだ虫、新聞紙や段ボールも食べるんだよ。そのほかにも、不思議な食べ物が。それはね、コンクリートや石なんだ……。だんごむしが語る、だんごむしの生態には、知らないこともいろいろ。大人も思わず、「へえー」といってしまうかも?

≪小学生から≫
⑩『おともださにナリマ小』
たかどの ほうこ 作 にしむら あつこ 絵 / フレーベル館
入学してから10日。1年生のハルオが一人で登校すると、なんだかへん。宿題なんて出されてもいなかったはずなのに、「りっぱにしゅくだいをやってきた」とほめられるし、教室の友だちには、どうやって上手に化けるのかと聞かれるし。なんと、ハルオはキツネの小学校に来ていたのです! さて、人間の学校に戻ったハルオは……。キツネの子と人間の子の、交流がゆかいな物語です。

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