お正月に食べる、日本の伝統食「おせち」。そこに込められた意味や願いを、美しい絵と優しい言葉で伝える絵本『おせち』は、刊行と同時に大きな反響を呼びました。この連載では、絵本に登場するおせちから3つのレシピを、それぞれに込められた願いとともにご紹介します。
3つ目は、おせちに欠かせない「お煮しめ」のレシピ。今回は、にんじん・こんにゃく・きぬさやの3種類に絞ってご紹介します。彩りがよいので、これだけでも華やかです。
お煮しめは、さまざまな食材を一緒に煮しめることから、「家族の絆が強くなり円満に暮らせますように」、「末永く繁栄しますように」という願いが込められています。
もちろん、1つ1つの食材にも意味があります。
にんじんは、根菜なので「深く根を張り、土台がしっかりしますように」。あかい色でおめでたく、「お祝いごとがたくさんありますように」と願います。
こんにゃくは、腸内をきれいにする働きがあるため、昔から“胃のほうき”として親しまれ、「新年に身体の中をきれいにする」という意味があります。
また、切込みを入れて結んだ手綱こんにゃくには、馬の手綱を引き締めるように「心を引き締める」という意味があり、円(縁)を作って結んでいくことから、「良いご縁がありますように」という願いが込められています。
きぬさやは、ひとつのさやにいくつもの豆が入っているので「家庭円満」。
豆は「まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせるように」と願う縁起物です。 また、きぬさやの形が弓矢の矢羽根に似ているので、「的を射ることができ、幸せになれますように」という願いが込められています。
テキスト:三浦康子

にんじんの太い部分 300g
※直径4.5㎝以上
こんにゃく 1枚(220~250g)
きぬさや 1パック(25g・12~15枚)
だし 300cc(1.5カップ)
砂糖 大さじ1.5
みりん 大さじ1.5
しょうゆ 小さじ2
塩 小さじ1/2
※下線は子どもが手伝いやすい工程です。
① にんじんを梅の形(ねじり梅)にする。
にんじんは皮をむき、厚さ1.5㎝の輪切りにし、型(約4㎝の梅型)で抜く。
花びらと花びらの間から中心にむかって浅く切り込みを入れ(5か所)、花びらの頂点から切り込みに向かって薄くそぎ取る。同じようにもう片面も行う。


② こんにゃくを手綱こんにゃくにする
こんにゃくを厚さ8㎜ の短冊切りにし、中央に2㎝くらいの切り込みを縦に入れて、片方の端を切り込みにくぐらせる。


③ こんにゃくを下茹でする
鍋に②を入れ、かぶるくらいの水を加えて中火にかける。煮立ったら弱火にして2分茹で、湯をきる。
④ 煮る
鍋に①と③を入れ、だしと砂糖を加えて、落し蓋をして中火にかける。煮立ったら弱火にし、5分煮る。落し蓋を取り、みりん、しょうゆ、塩を加え、再び落とし蓋をして15分煮る。煮汁のまま冷まし、味をなじませる。
⑤ きぬさやを茹でる
きぬさやは筋を取る。鍋に湯を沸かし、きぬさやを1分ほど茹でて、水にとって冷ます。
◆ 保存方法
冷めてから煮汁ごと保存容器に移し、冷蔵庫で2~3日保存可能。盛り付ける前に煮汁をきる。
レシピ作成・調理:満留邦子
写真:キッチンミノル

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