こどものとも70周年記念

福音館社員が選ぶ 「こどものとも」わたしの1冊|新入生へのメッセージ『しんせつなともだち』(経理課A)

絵本 |
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月刊絵本「こどものとも」が、2026年、創刊70周年を迎えました。
小さい頃に読んでもらったり、入社して出会ったり、子どもに読み聞かせたり……これまでに刊行された「こどものとも」から、福音館社員が思い入れのある1冊をご紹介します。

第3回は入社45年目、経理課・Aの1冊。

新入生へのメッセージ『しんせつなともだち』

経理課 A
 

もう20年ほど前のことになりますが、我が子が通っていた小学校で、PTA会長を3年間任されておりました。

入学式や卒業式では、ご挨拶することが役目のひとつで、毎年内容を考えるのに苦労していました。

入学式は、体育館の舞台には上がらず新入生が座っている目の前(席から約3m)で挨拶をするのですが、かしこまった話をしても子どもたちはポカンとしているだけで、話の内容にはまったく興味を示しません。

PTA会長になってから3回目となる入学式が間近となり挨拶を考え始めましたが、気の利いた内容にしようなどと考えれば考えるほど、納得のいく内容にはなりません。余計なことは考えずにシンプルにしようと思ったその時、「そうだ、今年は絵本を読んでみよう」という考えが浮かびました。

早速、校長先生に相談したところ、「ご自由にどうぞ」と了解が得られました。実は当時の校長先生は絵本が大好きで、私が福音館書店に勤めていることも以前から知っていたのです。

そして、入学式に相応しい絵本は? と考え、私も大好きな『しんせつなともだち』を選びました。

1965年に「こどものとも」109号として刊行した絵本で、現在もハードカバー版を発行しています。ひとつのかぶが、うさぎからろばへ、ろばからやぎへ──友だちへの思いやりの心をのせて届けられていくお話です。

 

入学式当日、司会者に紹介され、絵本を片手に新入生約 50 名の前に進みました。

冒頭の1~2分はお祝いの言葉など真面目な話をしましたが、その後「では今日はここで絵本を読みますので聞いてくださいね」と絵本の表紙を見せ、タイトルを告げ、読み始めました。要するに「読み聞かせ」を実践したのです。

子どもたちは「何が始まるのだろう」とキョトンとした表情をしていましたが、読み進めるうちにだんだんとお話に耳を傾けているのがわかりました。そして、絵を良く見たいようで、少し前のめりにもなってきました。この絵本を知っているのか、中には思わず声を出す子も。

 

3~4分で無事に読み終わり、「これからたくさんの友だちができると思いますが、皆さんも友だちのことを大切にしてくださいね」とメッセージを伝え、挨拶を終えました。子どもたちの緊張していた顔が、少しほころんでいたのを、今でも覚えています。

入学式終了後、校長先生から「入学式で絵本を読むのもなかなか良いものですね」と声をかけていただきました。また、保護者からも「絵本の読み聞かせ、最高でしたよ」と言われました。

お世辞も混じっていたと思いますが、思い切って実践した甲斐があったとホッとしました。

そして、長年読み継がれている絵本は、子どもはもとより大人の心にも響くものなのだと改めて実感した日となりました。
 

『しんせつなともだち』 
 方 軼羣 作  君島 久子 訳 村山 知義 画

食べものがない寒い冬のことです。お腹がすいたうさぎが、かぶをふたつ見つけました。ひとつだけ食べて、もうひとつをろばに届けますが、ろばは留守でした。うさぎはろばの家にかぶをおいていきます。家に帰ってきたろばは、かぶにびっくり。ちょうどさつまいもを手にいれたばかりだったろばは、かぶを今度は山羊に届けます。思いやりの心をのせたかぶが、動物たちのもとをめぐる「ぐるぐる話」。

*「こどものとも」1965年4月号
* 現在は「こどものとも絵本」として刊行


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