「えほんQ&A」は、読者のみなさまから寄せられた疑問や悩みにお答えする連載です。「子どもが同じ本ばかり読んでほしがる」「読み聞かせを最後まで聞いてくれない」など、誰にでも気になることはあるものです。絵本や読み聞かせを楽しむときの参考に、どうぞご覧ください。
平仮名を覚えて自分で読めるようになったのに、子どもがまだ「よんで!」と本を持ってきます。読み聞かせはいつごろまで続ければよいのでしょうか?
子どもがひらがなや漢字を読めるようになると、「もう読み聞かせは必要ないのでは?」と思われるかもしれません。でも、子どもが「よんで!」と言ううちは、ぜひ読み聞かせを続けてください。「読んでもらう」ことには、まだまだ大きな意味があるのです。
まず、「文字」を読めることと、「文章」を理解できることは、似ているようで違います。特に読みはじめの時期は、一文字一文字に意識が向いてしまい、音読はできても、文章全体の意味や内容の理解は難しいのです。
その点、大人に読んでもらうと、文字を目で追う必要がなく、文章が意味するところや物語の流れなどの理解に集中できます。絵本なら、絵をじっくり眺め、描かれているものを手掛かりにして、イメージを広げることもできます。「読んでもらう」ことによって、子どもは本の世界をより深く味わえるのです。読み手の声や、表情、間の取り方など、本の世界を豊かにしてくれるものも、読み聞かせにはたくさんあります。
また、知らない言葉が出てきた時、読み聞かせなら、その場で言葉を補ったり説明したりできます。言葉との出会いにおいても、大切な時間と言えます。子どもの様子や反応を見ながら語りかけ、時に会話も生まれる読み聞かせは、親密なコミュニケーションの時間です。その中で信頼感や絆も育まれていきます。
そんな読み聞かせを、文字を読めるようになったからといって、すぐにやめてしまったら、もったいないですよね。できるようでしたら、子どもが望む限り、読み聞かせを続けてあげてください。
……そうは言っても、読み聞かせの時間は、いつまでも続くわけではありません。自分で読む力が育っていくと、自然と「よんで!」という声は減っていきます。今だけのかけがえのない時間を、どうぞ楽しんでくださいね。
(とものま編集部)
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